2007-07-13(Fri) 虐殺の文法
■ 虐殺器官/伊藤計劃
近未来のお話。後進諸国で頻発する内戦や民族虐殺。その影に見え隠れする謎の米国人、ジョン・ポール。合衆国政府は彼を抹殺するために、暗殺を専門とする情報軍特殊部隊を送り込む。チェコ、インド、アフリカとジョン・ポールの姿を追うクラヴィス・シェパード大尉。
本書のあらすじに「近未来軍事諜報SF」とあるけど、そんな話を期待すると肩透かし。ミリタリーアクションものじゃない。そっち方面の興味で手に取ったんだけどね。だからつまらなかった、ってことじゃない。とても印象的なのだ。うまく表現できないけれど、思想的、哲学的な話といえばいいのか。とてもナイーブなのね。それは「ことば」の物語。我々が語る言葉の下に潜むもの。そこにある虐殺の文法。
読んでる最中は、少々退屈したのも確か。でも、読み終えた後にジワジワ来るんだよなぁ。デビュー作ってことだけど、硬質で淡々とした筆致はそんなことを思わせない枯れた味わい。その文章に何だか酔っちまいました。累々たる屍の上に立つダークな気分、も悪くない。
野暮を承知で言えば「攻殻機動隊」のイメージ*1が近いかな。受ける感覚がってことでね。後、光学迷彩や(電脳じゃないけど)ネットワークのあり方とかいったガジェットも。
*1 特に「イノセンス」あたり
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