2007-07-14(Sat) 潜水艦の戦い
■ 無音潜航/池上司
日本国内で放射性物質を使ったテロが発生。親善訪問で中国・大連を訪れていた海上自衛隊の潜水艦「さちしお」は急きょ帰国することになる。途中、黄海で謎の漂流者を救助した直後、北朝鮮海軍からの攻撃を受ける。艦長の藤井の卓越した戦術と操艦により死地を脱するも、今度は中国海軍らしき艦艇からの威嚇攻撃が。「さちしお」を狙う理由は何か?彼らはこの戦場を無事に脱出することは出来るか?
……と言うお話。読み始めたら止められなくて徹夜しちまいました。Uボートの時代も原潜の今も潜水艦をめぐる戦いは面白い。それはお互い見えない相手との戦いだからだ。相手を探るために二手三手先を読み、少しずつ詰めていく。そこで繰り広げられる闘いは腹の読みあい、騙しあい。いかに相手を出し抜くか。この虚々実々の駆け引きがたまらなく面白いのだ。
本作もその魅力は十分。主役が海上自衛隊の潜水艦だしね。アメリカ海軍なんてよりも、そりゃ感情移入しちゃいますぜ。くわえて藤井艦長は米海軍との演習で、主力艦を六隻も「撃沈」した強者。そのアクロバティックな戦術と操艦は見物だ*1。
自衛隊はもちろん直接の攻撃は出来ないけど、中国軍も同じような縛りがある。「さちしお」を撃沈すると言うよりあるポイントに追い込むのが目的。必死で回避する「さちしお」。だからなおのこと相手の裏をかこうとする頭脳戦の趣。
ただし、少々不満も。この事件の発端となったテロ。結局誰がなんのために、ってことは明かされない*2。必然性が感じられず、本筋から浮いちゃってる気がする。物語の都合上って感じなのだわ。で、このテロと「さちしお」が救助した遭難者は当然繋がりがある。そのために攻撃を受ける羽目になるんだけど、その理由がまたなんと言いますか……。そんなのあり??もっともらしい理由には思えないんだよなぁ。
もうひとつ言わせていただければ、戦闘の結末が納得いかねぇ。戦い終わってそのあとにもう一幕あるんだけど、あれはなくても良かったのではないでしょうか。せっかくのクライマックスが、間延びしちまったような印象。
まぁ、そんなことは笑って許しちまいましょう。なんたって「さちしお」の戦いは紛れもなく面白い。潜水艦ものが好きならぜひ。



