2006-11-28(Tue) 編集
_ 孤島パズル/有栖川有栖
あらすじ
奄美大島の南50キロに浮かんだ孤島で過ごす夏休み。英都大学推理研の江神とアリスは、マリアに誘われて彼女の叔父の別荘がある嘉敷島へ訪れる。その島には5年前に亡くなった祖父が秘かに隠した財宝があると言う。未だ発見されない宝探しのパズルに挑戦する二人。しかし、楽しむ間もなく台風の夜惨劇は起こり、悲劇は連鎖する。
感想
有栖川有栖の長編二作目。英都大学推理研ものとしても二作目。残念ながら長編は未だ三作しか出ていないけれど、その中でどれが一番お気に入りかと問われれば—甲乙付け難いけど—「孤島パズル」を推す。それは有栖川作品全部の中でも、って事だ。
何よりもそのロジックの美しさと斬れ味。一枚の地図に残されたタイヤの跡。そこから導きだされる真相の、なんと繊細で緻密なことか。一点の澱みも曇りもないそれは、ため息が出るばかり。今でも読むたびに鳥肌が立つ。
まさにジグソーパズルだ。無秩序に散らばったひとつひとつのピースを丹念に吟味しあるべきところへ収める。そこに出来上がる思いもよらない光景に息を呑むのだ。そして、その美しさの裏にある悲哀に涙する。 謎は解かれても、物語は終わらない。生き残ってしまった人々は何を想うのか。そんな余韻にどっぷりと浸かるラスト。
ともかくだ。これぞ推理小説だぜ、と声を大にして訴えたい一冊なのだ。まぁ、人によっては能書きが多くてクドいという事にもなるのかもしれないけどね。 もうひとつ付け加えるならば。今回から登場する推理研の紅一点、有馬麻里亜に注目。まぁ、チャーミングな娘なんだ、これが。
孤島パズル (創元推理文庫—現代日本推理小説叢書)
東京創元社
¥ 693
2007-11-28(Wed) 編集
_ 殺戮にいたる病/我孫子武丸
殺戮にいたる病 (講談社文庫)
講談社
¥ 600
読手を選びそうな本。何たって、真実の愛を求めて女性を殺しまくる男の話だからなぁ。ただ殺すだけじゃなく屍姦したあげく、その肉体の一部を持ち帰るというグロテスクさ。そういう描写が苦にならなければ*1、これ間は違いなく人にお勧めしたい面白本だ。
何と言ってもそのトリックの秀逸さ。うまくミスリードしている。改めて読み返してみると、よく出来てると思うよね。とは言えこの手のトリックとしてはもう古典に入るか。実にシンプルで、その分刺激も程々かな。オチは見破れなかったけれど、大体どの辺りに着地するのかは何となくわかっていたつもり*2。だから、最後は「なるほど!」とは思うものの「やられた!」とまではいかなかったなぁ。
2008-11-28(Fri) 編集
_ 聖女の救済/東野圭吾
「容疑者Xの献身」以来の探偵ガリレオシリーズの長編。あれから3年も経つのか。
東野圭吾は今もっとも話題の作家といっていいだろうし、「容疑者X」も良きにつけ悪しきにつけ注目された作品だ。事前にチラッと見たネットの評判もよさげ。そうなると読む前からこっちも肩に力が入ってしまうが、期待に違わぬものだった。
今回もトリックがいい。トリック自体は一発芸みたいなもんだけど、その使い方がいいんだよね。トリックに潜む犯人の思い。それが「聖女の救済」なのだ。うん、タイトルうまいなぁ。
ただ、犯人は誰かなんて読めばすぐわかるから言うけど、もっと彼女に感情移入できていれば。あのトリックを実行した凄みは十分伝わってくるけど、そこまでに至る、彼女の根っこの部分が今一つわからない。「容疑者X」の犯人と比べるとその部分がちょっと弱いような。
そして、彼女に仄かな思いを寄せる草彅の存在。感情移入って事ではレギュラーキャラクターである彼の方が、彼女の「魅力」よりも勝ってしまう。どうしても草彅の方に目がいっちゃうんだよね。ほかの「知らない」人が彼の役回りだったほうが……。もしくは湯川自身が……。それはあり得ないか。
ちょっと荒い感じがするのも確か。手を抜いてるわけじゃないんでしょうけど、もっと面白くなったんじゃないかとも思う。これでも普通に傑作だが、読み手としてはどんどん要求が高くなってしまうのです。
以下は余談。作中に福山雅治が出てきたりして、作者もなかなかサービス精神旺盛である。テレビシリーズの「ガリレオ」は見ていないんだけどね。で、福山雅治のイメージ。湯川もなかなかよさそうなんだけど、大学の先生で名探偵といえば、もう一人。火村英生。そっちの方がピッタリなんじゃないか!?ああ、でも映像化するときは相棒は「アリス」だからといって女性にはしないでいただきたい。
2009-11-28(Sat) 編集
_ あと少し
今日の売り上げは、あと少しで大台に乗るところだった。今日のイベントは好成績。10万円の売り上げ。本業のほうでもひとりで5万というお客様がいらっしゃったり、全体的に客単価が高い。いつもこうだといいのだけれど。
もう12月。ということで、今年のベストセラー・話題作のコーナーを展開する。ちなみにウチの店のベストテン(コミック・文庫・実用書は除く)は、
- 読めそうで読めない間違いやすい漢字(出口 宗和)
- 1Q84 BOOK 1(村上 春樹)
- 体温を上げると健康になる(齋藤 真嗣)
- 「脳にいいこと」だけをやりなさい!(マーシー・シャイモフ/茂木健一郎)
- 1Q84 BOOK 2(村上 春樹)
- 日本人の知らない日本語(蛇蔵&海野凪子)
- 告白(湊 かなえ)
- 人間の覚悟 (新潮新書)(五木 寛之)
- しがみつかない生き方—「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール (幻冬舎新書)(香山 リカ)
- 私服だらけの中居正広増刊号~輝いて~
となる。単純に1年間の売り上げ数のランキングなので、販売期間による差があるけれど。
ここには含めなかったが、『最後のパレード ディズニーランドで本当にあった心温まる話』が本当ならベストテン入りしていたはずなのだった。
