2004-02-01(Sun) [長年日記] 編集
_ 術/長坂秀佳
長坂氏の初の書き下ろしエッセイ。長坂秀佳といえば真っ先に思い浮かぶのは『特捜最前線』でしょう。当時の刑事ドラマで一番人気は『太陽にほえろ!』だったんでしょうけど、私は「特捜」派でした。
「太陽」に比べると地味でしたけどね。暗かったともいえるかな。でも、どこかミステリファンの心を捉えた番組でした。長坂脚本の回は特にそんな感じでした。いつの頃からかタイトルに「長坂秀佳シリーズ」と冠をつけて4本を1シリーズをして放送するようになりましたが、それが楽しみでした。
今回この本を読んでそれには裏話があったことを知りました。そんな『特命最前線』の裏話も読むことができる一冊。
長坂秀佳 術
辰巳出版
¥ 2,625
2004-02-04(Wed) [長年日記] 編集
_ スイス時計の謎/有栖川有栖
ダイイング・メッセージ、首のない死体、密室、犯人あてといった趣向を過分無く楽しめる四編。
スイス時計の謎
無くなった時計から犯人を導きだすロジックは、『孤島パズル』を彷佛とさせられた、と言うとちょっと言い過ぎかな。しかし、おぉこれぞ有栖川節と一人悦に入っております。
あるYの悲劇
ダイイング・メッセージには否定的はワタシも、これは納得。ちょっと自慢すれば途中で珍しくメッセージの意味が分かったりして。「刑事コロンボ」でも似たものがあったからなぁ。
シャイロックの密室
しかし、密室を作り出す鍵となった例のアレ。そんなにすごいものなのか。持ち歩いていて平気なのかと思ったり。何故かコミックの『ジョジョの奇妙な冒険』を思い出したりも。どのスタンドか言えばネタばれになるから書かないが、あのスタンドね。密室を構成するのにソレだけじゃなくアレまで利用してたってのが面白い。そこがミソかな。
女彫刻家の首
この中ではワタシ的にはもうひとつ。何故、現場から首が持ち去られたのか? 突拍子もないワクワクした答えを期待してたけど、ある意味とても正統的な答えでしたね。
どれもきわめて真っ当なミステリ、ってこれは褒め言葉ね。謎解きの物語を求めている向きには期待違わず。
スイス時計の謎 (講談社ノベルス)
講談社
¥ 924
_ マレー鉄道の謎/有栖川有栖
最初に次回作は『マレー鉄道の謎』と聞いてからずいぶんと待たされた本作。さて、待たされるだけのことはあるかと言いますと・・・、おお、なかなかいいのではないでしょうか。
これまでの火村・有栖シリーズはもうひとつ"ノリ"が良くなかったけど、これは正統なミステリに仕上がってます。そう、うれしいぐらいに"普通の"ミステリ。心なしか、テイストが江神・有栖に近いのもいい感じ。
肝心の密室トリックは多少"?"マークがつかないわけでもないが、まあそこはご愛嬌。最後まで真相は何か、といった興味を失わせないのは流石。タイムリミットがあることによるサスペンスも効いてるしね。
どうも最近の有栖川有栖は、とお思いの方にもストレートで味わい深いミステリだとお奨めできるかも。
マレー鉄道の謎 (講談社ノベルス)
講談社
¥ 987
2004-02-09(Mon) [長年日記] 編集
_ R.P.G./宮部みゆき
舞台はほぼ取り調べ室だけ。時間経過もわずか数時間。本当に舞台劇を見ているようです。ミステリとしての面白さはもちろん(ただし、本人も書かれていますがアンフェアと言えばアンフェアです)、何だかせつなくなるお話です。
やはり、このひとはうまいなぁ。美味しいお酒をいただいた、そんな感じの1冊です。 タイトルがいい。 かなり意味深ですね。ネット上での疑似家族というのがでてくるんですけど、実際の家族でも"演じている"部分と言うのがあったりするのかもしれない、と考えさせられました。
「親子にも相性がある」という一説は何だかドキリとしてしまいました。
R.P.G. (集英社文庫)
集英社
¥ 500
2004-02-10(Tue) [長年日記] 編集
_ 永遠の仔/天童荒太
読んでいて心が痛くなります。極普通に生きていられる自分は、やはり幸せであると言っていいんだろうな。
タイトルの「永遠の仔」と言うのも考えさせられます。世の中に本当に大人だと言える人はいるんでしょうか?人が生まれてから死ぬまでのことを、深く考えさせられました。ある意味人は一生”仔”であるわけですし。子育てだって結局自分の生き方の延長線上でしか出来ないですよね。自分に自信がないと恐いことです。
結婚していない私は、当然子供もいないんでこの辺のところはまだピンと来ませんが。年老いた親の問題なんかもいずれは考えなければならない・・・。うーむ、支離滅裂な感想ですが、ともかくそう言ったことを考えさせられる一遍です。かなり重いんで(物理的にも)腰を据えて読む心構えが必要なり。
ミステリではないと思うんですが、結末は意外でした。まあ、こっちの勝手な思い込みなんですけどね。登場人物に感情移入できるんで、「この人はこうであって欲しい」と思わずにはいられませんでしたから。結果は、私には悲しい結末でした。
永遠の仔〈上〉
幻冬舎
¥ 1,890
永遠の仔〈下〉
幻冬舎
¥ 1,995
2004-02-11(Wed) [長年日記] 編集
_ パーフェクト・プラン/柳原慧
第2回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
誰も傷つけることなく、また誰も損することなく、身代金の要求なしに5億円をせしめる、画期的な誘拐のプラン。読む前から期待できそうな予感。現実とは違ってミステリでの誘拐は(例外があるにせよ)知的ゲームの様相があって割と好きなのです。面白いコンゲームを想像していました。
しかし、残念ながら…。どうにも細かい部分で気になることばかりで作者の創り出す世界に入っていけないのです。ツッコミ満載で物語に集中できない。どうも、よい読み手ではないですね。
例えば計画のキモとなる株取引の部分なのですが、あんなに容易に事が進むものなのでしょうか。あまりにも簡単すぎません? 現実の世界でもそんなことは日常茶飯事なのかもしれないですけど、そうなんだと納得させてくれていない。どうにも嘘っぽい。実際にあり得ることだとしても、なんだか白々しく思えてしまうのですね。
確かに今時のネタをふんだんに取り入れてはいます。しかし、それらがすべて効果的に活かされているかというと、どうなんでしょう。とりあえず専門用語でデコレーションしてみましたとしか感じられない。深みがない。書いている本人も意味が判って使ってるのかいな、って疑問に思えてしまうのですね。
書く本人が扱う内容を完璧にものにしていないと、読み手に納得させることができないと思うのです。で、著者のインタビューを見つけて読んでみるとやはり特に専門家という訳ではないのですね。
巻末の選評で大森望氏がうまい表現をしているので引用しときます。
前転もできないのに見よう見まねでウルトラD難度の技に挑戦する芸人みたいなもので、専門的な描写がまるで板についていない。
もっともこれは応募原稿時での評です。出版にあったては問題点は改稿されて欠陥は存在しないと結んであるのですが……。
パーフェクト・プラン
宝島社
¥ 1,680
2004-02-13(Fri) [長年日記] 編集
_ 蘆屋家の崩壊/津原泰水
これは「幻想小説」って言うことになるんでしょうか。「ホラー」というのとはちょっと違うかなぁ、と。モノトーンの雰囲気がとてもいい感じなのです。ちなみに”謎解き”としてのミステリではないですね。
読み終えて思うのは、高橋葉介の『夢幻紳士』。あの漫画を連想するのでした。ズバリ、あんな雰囲気(って、そう思うのは私だけか)。文体も私のお好み。読んでいて違和感なくその世界の中に入っていける。
この中で特に気に入ったのは「猫背の女」。こいつは恐い。ストーカーの話ですけど、ひたひたと絡みつくような恐怖感がいい。直接的な恐さじゃなく、間接的な恐さ。こういった方が恐ろしいですよねぇ。
もうひとつは「カルキノス」。この中では唯一ミステリしていますが、オチが素晴らしい。普通 だと「なんだこりゃ!?」的なオチだと思うんだけど、この雰囲気の中ではこれしかないでしょう、って決まりっぷり。先入観なし、期待もなしに読んだんですが、これは大当たり。
蘆屋家の崩壊
集英社
¥ 1,575
2004-02-14(Sat) [長年日記] 編集
_ レベル7/宮部みゆき
記憶をなくした男女と失踪した女子高生。記憶探しと人探し。”レベル7”と言うキーワードで結ばれた、先の読めない二つの物語。行き着く先に待ち受けるのは何か? ページをめくる度深まる謎。持続する緊張感。結構な分量だけど少しも気にならない。飽きさせない。
二つのストーリーが最後にはつながるんだろうってことは判る。判っていながらハッとさせられるのはやはり作者の力量でしょうか。少しずつ解れていく真相の見せ方、微妙なさじ加減はさすが。
しかし、ワタシが一番やられたのはプロローグだったりする。何もかもここから始まったのだ、と読み終えて後から気付かされるこのうれしい悔しさ。読み返して思わずニヤリ。
レベル7 (宮部みゆきEarly Collection)
新潮社
¥ 2,520
2004-02-15(Sun) レイクサイド: 東野圭吾 [長年日記] 編集
_ 文藝春秋売り切れました
『文藝春秋』の3月号が早くも売り切れなのです。
10日に発売ですから、5日間での売り切れ。これはかなり速いペースです。なぜか? 今月号は芥川賞の全文掲載があるのです。いわずと知れた金原ひとみ『蛇にピアス』と綿矢りさ『蹴りたい背中』の掲載。わずか780円で読めちゃうんですから売れますって。二冊買うより半額以下だもの。
しかし、これだけ話題になった芥川賞もここのところなかったですね。そのせいか直木賞の影の薄いこと。売り上げも逆転しちゃってます。普段は直木賞受賞作の方が売れるんですよね。今回の二作は両方とも受賞時には既に刊行されていたというのも案外ポイントなのでしょうか? だいたい芥川賞は雑誌掲載のものが選ばれるような気がしていたのでちょっと驚きましたけどね。
こんなにも注目されるというのは、やはり金原・綿矢両名のキャラクター故でしょうか? いや、それしか考えられない、かな。うら若き乙女というのはもうそれだけで付加価値があったりするのでしょうねぇ。これがたとえ19・20でも男だったらまた違ったであろうというのは確実なところでしょう。男は哀しいねぇ。
そんな中『蹴りたい背中』の方が売れているってのはまたそれはそれで興味深いことではあるんですけどね。
『文藝春秋』はどうやら重版するようです。雑誌の重版もまた珍しい。今年の出版界の話題をかっさらっていきましたね、あの二人は。この調子でこれからも売り上げに貢献していただけるとうれしいなぁ、と本屋さんは思うのでした。
2004-02-16(Mon) [長年日記] 編集
_ 13階段/高野和明
第47回江戸川乱歩賞受賞作 。人を殺すことは本当に悪いことななのか? 何をバカなことと思われるかも知れませんが、そんなことをふと考えさせらる一作。 かなり思いテーマを持った内容なのです。正義とは何か、罪とは何か。
でも、そんなことはお構いなしに読みはじめたら一気に読ませるだけの面白さ。はたして事件は冤罪なのかって謎と三上純一自身に関する謎、そして引きつけるテーマ。ついつい夜更かししてイッキ読み。
ま、気になるところが無いわけでもない。重要なキーポイントの"階段"の扱いがちょっと強引ていうか乱暴ではなかろうか? 何だかあまりにも直接すぎると思うのですよ。もうちょっと「そうだったのか!」てな感じだと良かったんですけどねぇ。
おまけにお気に入りの場面をひとつ。最後の方で「私だけが大学に行ったもので」という場面。何だかやられたというか、思わずジーンとしちゃいました。 "善い人"たちが活躍する話ってのはいいなぁ。
13階段 (講談社文庫)
講談社
¥ 680
2004-02-18(Wed) [長年日記] 編集
_ 火蛾/古泉迦十
そもそもこれはミステリなんだろうかと読んでいる途中で不安になったり。もしや宗教書なのかと思っちゃいました。初級イスラム教入門にも最適、かな。いろいろ蘊蓄話なのだけれど決してペダンチックにはなっていない。とても判り易く読み易い。
しかし、そもそも現代とは価値観も世界観もちがうであろうこの世界で”推理”だの”犯行”だの”動機"といった言葉が繰り出されるのはどうも違和感がある。 でも、これが決してつまらないわけじゃない。読んでる最中は何処へたどり着くのかと思ったこの物語の着地地点も、なかなかよく出来てると思うし。
説得力があるかどうかは別にしても、納得できる結末。なかなかうまいと思うなぁ。 煙りに巻かれたような読後感ではあるけどね。やはり普通の意味でのミステリだと思うとちょっと肩透かしを食うかなぁ。
火蛾 (講談社ノベルス)
講談社
¥ 924
2004-02-19(Thu) [長年日記] 編集
_ 笑ってジグソー、殺してパズル/平石貴樹
冒頭、「動機ばかり捜してちゃダメですよ」というニッキのセリフがこのミステリの性格を現している、かな。そう、これは物証と証言からだけで謎を解いていく本格ミステリ。しかもご丁寧に読者への挑戦状付き。純粋なパズラーなのだ。
そういった意味で、物語を膨らませる要因みたいなところはあえて捨て去っている。出てくる刑事の名前が森永(モリナガ)だとか藤谷(フジヤ)だし、何と言っても主人公の名前がサラシナニッキ(更級日記)。最初に刊行されたときは登場人物全員カタカナ表記でいっそうリアリティをなくしているそうな。
そこら辺のところで、物足りなく感じてしまったりもする。最初に読んだ『誰もがポオを愛していた』(ニッキの2作目)はメチャクチャ面白かったのだ。それに比べるとなんだかもうひとつなんだよなぁ。
例えば横溝正史風な世界でやったら、と思うけどこれってはっきり言ってこのみの問題だわ。何と言っても"本格"ミステリ。いい仕事してるし、読んで愉しいし、ニッキもチャーミングだし。読んで損はない、はず。
笑ってジグソー、殺してパズル (創元推理文庫)
東京創元社
¥ 735
2004-02-20(Fri) [長年日記] 編集
_ トウガラシの誘惑
何が好きって、辛いものが大好きな私なのです。辛さにもいろいろありますけど、やはりなんといってもトウガラシの辛さ。偏愛していると言っても過言じゃないですね。
料理と作るときは、油断しているとどんどんピリ辛系の味付けに進んでいってしまいます。そんな私に欠かせない調味料は桃屋のキムチの素。お手軽ピリ辛料理には手放せません。もう、可能な限り投入してます、ハイ。それも隠し味程度の辛さじゃだめ。もう、親の敵かと思うぐらいの辛さを、ヒハヒハ言いながら食べるのが好きだったりするのです。もうこうなるとそれは一種の麻薬と言っていいかもしれないですねぇ。
ところで「辛い」という感覚は味覚ではなく痛覚なのだとか。要するに「痛い」と思っているわけですね、体は。痛いと思いつつ辛いものを求めてしまう…。痛いと思うのが大好きなんてのは、我ながらちょっと危ない。
でも、痛いと思うと人間の体ははよく出来たもので、その痛みをなんとか和らげようとするんだそうです。そこで登場するのが「エンドルフィン」なる脳内で作られる物質。こいつは快感を生み出して痛みを和らげちゃうのです。痛みを消すのではなく、いい気持ちにして忘れさせちゃうってところがポイントですね。言ってみればナチュラルハイな状態に導くという、まさにドラッグなのです。要するに激辛なものを食べるってことはトリップするってこと、だったりするのですねぇ。しかも、その感覚もだんだんと慣れていってしまうので、快感を求めてどんどん激辛の深みに陥ってしまうらしいのです。ああ、恐ろしやトウガラシの誘惑。
2004-02-21(Sat) [長年日記] 編集
_ 慟哭/貫井徳郎
この作品は何も知らずまっさらな状態で読んだ方が断然面白い。感想・書評なんて後回しにしてまずは読むべし。
私はいらぬ先入観があって正直言ってあまり「びっくり」じゃなかったのがちょっと残念。犯人は予測できてしまったのだ。しかし、これ鋭い推理によってとかでは無く単に裏読みのしすぎ。この書き方だと最後に何かあるなと思うのは私がひねくれているせいか、ミステリ読みの性なのか。
ただし、そんな事は問題にならないほど読んで面白い。著者は圧倒的に『読ませる』文章を書く人だ。確かに20代でこれを書いたと思わせない筆致。しかもデビュー作ってんだから驚き。「楽しい読書の一時」を持てる一冊だと断言しよう。
ラストの一行は重い。ある意味ミステリとしては掟破りか。すべてはこのために書かれていたんじゃないかと思うほど。そしてタイトルの『慟哭』の意味を知る。やるせなさ満点の読後感。それが後を引く。未解決な部分があるじゃないか、なんて野暮な事は言いっこなし。
慟哭 (創元推理文庫)
東京創元社
¥ 780
2004-02-22(Sun) [長年日記] 編集
_ シャッター・アイランド/デニス・ルヘイン
悪夢、そう呼ぶのにふさわしい一冊。だけど、感想が書きづらい一冊でもあります。どこをどう触れてもネタバレになりそうなのですね。
孤島。密室からの人間消失。残された謎の暗号。結末は袋とじ。ミステリ好きの心をそりゃもうグリグリとくすぐります。ここまでお膳立てされたらもう読むしかないでしょう。翻訳物にありがちな読みずらさもなく、引き込まれる物語。
しかし、読み進むうちにアレレなんか変だぞ。実に面白そうな暗号も途中であっさりと解決しちゃうし。もちろん、それにはそれなりの理由があったってことは読み終えて納得。でも、物語は初めの期待と裏腹に少しずつ道を逸れていくような…。この先どうなるんでしょ?
期待と不安を胸にビリビリと袋とじを破り読み出すクライマックス。
……ものの見事にやられましたよ。そんな結末が待っていたなんて全く予想外。素直にビックリ。気持ちよく作者の罠に引っかかりました。似た趣向のものは、他にもあるのだけれど少しも気づきませんでしたよ。
でも、かえって訳が判らなくなったような。結局正しいことは何だったんでしょう? 最後の一章って?
いい意味での後味の悪さ。
シャッター・アイランド (ハヤカワ・ミステリ文庫)
早川書房
¥ 861
2004-02-24(Tue) [長年日記] 編集
_ 『文藝春秋』再び
先頃再入荷したものの、あっさりと売り切れた『文藝春秋』の3月号は、また重版するそうです。普通の雑誌が2度も重版するなんてかなり事件ですね。前回も書きましたけど、おそるべし芥川賞効果、ってことでしょうか。3月の上旬には店頭に並ぶと思います。『蛇にピアス』と『蹴りたい背中』も先日の芥川賞授賞式の影響か、また売り上げに弾みがつきました。
本屋の立場からすれば有り難いことですけど、何か違うよなぁと思わなくもないです。どうも、ある意味過大評価されているのではないか、と。男の子だったら絶対違った展開だよなぁ。
どうでもいいことではありますが。どうせなら、第128回に続き今回も候補だった島本理生さんも受賞しちゃえば本屋としては有り難かったかも、なんて不遜なことを思ったり。
2004-02-25(Wed) [長年日記] 編集
_ アバロンヒル
調べものをしている最中に偶然知ったのですが、アバロンヒルが買収されて今はもうないのだとか。1998年とだいぶ前の話で今更なんですが。
アバロンヒルというのは米国の老舗のゲーム会社でした。いろいろなボードゲームを出していましたが、私の興味があったのはウォーゲームの類い。シミュレーションゲームとも呼ばれる、実際にあった戦いを再現するゲームですね。一時期ブームで国内外のメーカーのゲームが店頭に所狭しと並べられていたものです。それが今ではアバロンヒルに限らずその頃の主力だったメーカーはほとんどないんですね。SPIとかGDWとか。私自身ずいぶんとその関係から遠ざかっていたので全く知りませんでした。
私もその当時はいろいろと買い漁っていました。初めて買ったのは『アラブーイスラエル戦』というマイナーなテーマのゲームです。『パンツァーブリッツ』のシステムで中東戦争を再現したもの。値段が高いのが学生には大変でした。どれも5,000円以上はするのですねぇ。いくつ所有していたのか正確には覚えてませんが、20は下らないはず。ウーム、結構な投資額ですね。今では押し入れの中で埃をかぶっているけど、オークションにでも出せば、もしかして元がとれる?
生まれたからには一軍の将となって戦ってみたい、なんてことを思う人間にとってウォーゲームはまさにその夢を叶えてくれたのでした。もっとも「戦争をゲームになんかにして」という批判もありましたけど。自分の中では、それとこれとは違う、純粋に知能ゲームとして捉えていました。
衰退していった理由というのはいろいろとあるんだろうと思いますけど、対戦相手がなかなか見つからないってことではないでしょうか。ルールが複雑なのです。初期のゲームはそうでもないのですが、だんだんとリアリティを追求するようになるに従いルールも増える一方。ルールブックが100ページなんてのはざらだったりしました。もう、覚えるだけでお腹いっぱいだったり。
相手も同じケームを持っていればすぐに遊べるわけですけど、そうでなければ、さぁ大変。せっかく遊びにきてくれたのに、「じゃぁ、まずはルールの説明」で一日が終わってしまいかねない。このルールの複雑・煩雑化はマニアックな面から言えばうれしい反面、プレイアビリティから言えば問題ありですね。
それに、ミリタリとか歴史とかをある程度の知識がないと、そもそもルールを理解できないと言った問題もあります。要するに誰にでも気軽にできるゲームじゃないですねぇ。
気軽にと言えば、場所の問題もありました。大作になると、ゲームで使うマップを広げられなかったり。相当大きな机が必要なのでした。おまけにセットアップにもかなり時間が掛るものがあったり。ゲームの時間も何日も掛かったり。
結局ゲーマーよりもコレクターとして買っていたような。
2004-02-26(Thu) [長年日記] 編集
_ タラント氏の事件簿/C.デイリー・キング
初めて読む作家、しかも翻訳物。しかし、これがなかなか当たりです。トリックというかタネ自体は、はっきり言うと大したことはないかもしれないです。でも、それを見事に不可能犯罪に作り上げる手腕はさすがですね。ホント、うまく騙してくれます。翻訳物にありがちな、回りくどい言いまわしもなくてとても読みやすいのもマル。
スタイルとしては、ホームズ=ワトソン物なんですけど、探偵役であるタラントがいい味を出してます。嫌みなところが無く洒落ていて、お茶目なとこもあったりして。彼の執事兼従僕は何と日本人だったりします(彼の裏の顔はスパイであるなんて設定だったりします)。
ただ、最後の一編はちょいと納得いきませんなぁ。まあ、ある意味とても凄いオチだとも言えるのかもしれないけれど。
▽タラント氏の事件簿 (エラリー・クイーンのライヴァルたち)(C・デイリー キング/C.Daly King/中村 有希)
2004-02-28(Sat) [長年日記] 編集
_ ウチの同居人

今日はネタがないのでうちの同居人の写真でもアップしてお茶を濁しておこう。アメショのカフェオレ嬢です。
いろいろサイトを見て回ると圧倒的に猫派の人が多いような気がするなぁ、犬派と比べてね。やはり猫の方が飼うのに敷居が低いからでしょうか。私もどっちかというと犬派なのですけどね。でも、犬を飼うにはいろいろと事情が許さない、ってことはあるよなぁ。あ、もちろん犬の代用で猫を飼っているわけでもないからね、カフォオレ。機嫌損ねないでね。
_ 「出来ません」と言うな!
先日銀行での出来事。
仕事関係の振込をとある銀行のATMでしたのだ。案内のままに操作をしていったのだが、最後に「振込便利帳(という名称だったかな?)をお作りしますか?」とメッセージ。作ると次回からの振込が簡単だ、みたいなことを言ってるわけね。簡単便利になるなら異存はないぞ、と“はい”のボタンを押してみたわけなのだが。これがそもそもの失敗。しばらく待って出てきたのは通帳のようなものなのだ。要するに、次回からはこの通帳を使えば金額を入れるだけで簡単に振込が出来るってことなんだろう。
しかし、なのだ。これは、仕事の上でのこと。会社に提出するので、欲しいのはそんな通帳じゃなく一枚のひらひらした明細でいいのだ。なので、窓口のオネーサンに相談しにいったわけですね。「この便利帳はいらないからなんとかして」と。
そうしたら、そのオネーサン態度の冷たいこと。にべもなく「出来ません」と言い放ちやがる。
まぁ、こちらも大人ですからね。そもそもよく確認もせず「振込便利帳を作るか?」に“はい”と答えてしまったこちらに責任がある、といわれれば否定しませんよ。だから、案内が不親切じゃないのかってことは問題にしませんて。それに、銀行側にも出来ないというそれなりの理由があるということだって理解してますよ。
でもね。こちらとしては困っているので相談しているのだ。申し訳ないけどなんとかして、とお願いしているわけで。それを最初から、なんとかしようとする態度も見せずに「出来ません」といわれれば、正直頭にくるわな。あまりにもその事務的な態度が面白くないので、久しぶりにブチ切れるところだったよ。結局エライ人が出てきて事無きを得たんですけどね。
で、改めて今回思ったこと。自分自身客商売をしているので反省したのは、やはりお客様に対して最初から「出来ない」というのは御法度だなぁ、ということ。最初から拒絶されればたとえ自分に非があったとしても、いい気分じゃない。なんとかしようとする姿勢を見せた上での(たとえそれがポーズだとしてもね)「出来ません」だったら、不快感はそれほどではないと思うわけで。
そんなわけで、却って勉強になった体験ではあったので、有り難うオネーサンと言っておこう。
2004-02-29(Sun) 妖魔の森の家: カーター・ディクスン: 東京創元社 [長年日記] 編集
_ 妖魔の森の家/カーター・ディクスン
こりゃ面白いわ。正直言えばトリックは今の目から見るとたいしたことはない、かも。しかし、そんなことは問題ではないのだ。仕掛けがありますよ、ありますよと散々言われてるのに騙されてしまう快感。伏線や手掛かりのばらまき方が絶妙。 実にさりげないんで、それだけに「やられた」と思いますね。
それから「第三の銃弾」もいいぞ。 警察官2人の目の前の密室状態の部屋の中で、2人のうち1人が銃で撃たれる。片方の男が銃を握っている以上こいつが犯人だと思われるものの、そいつが言うには確かに銃を撃ったが外れてしまった。その直後部屋の中でもう一発の銃声がしてそれが当たったのだという。確かに警察官も、二発の銃声を聞いているし部屋の中からもう1丁の銃が発見されて、さあ大変。もう1人部屋の中にいたのか?でもそんなはずはあり得ない。もうこれでもワクワクなのに、なんと被害者から取りだされた銃弾は未発見の第三の銃から発射されたものだと判ってもうなにがなにやら。こんな美味しい謎、ミステリ好きなら見逃せない。
さあ、今すぐ書店に走れ!もっとも、ちょっと強引なトリックかなとも思いもするが。でも、いいのいいの、カーの場合はいいの。そういうところも引っくるめて、カーなんだからさ。
妖魔の森の家 (創元推理文庫—カー短編全集 (118‐2))
東京創元社
¥ 735
_ ファビコンを着けてみる
ブラウザのアドレス欄の先頭にサイトごとに違ったアイコン(ファビコンと言うそうで)が表示されることがありますよね。あれは前からどうやっているのかと思っていたのですが、調べてみれば至極簡単。で、早速うちにも付けてみました。ちなみにファビコンとは "favorite icon" の略なのですね。
設置方法は、まず表示する画像を用意します。サイズは32×32あたりが適当でなんしょうか。もっとも、表示されるときは16×16の大きさになっちゃいますが。色数は256色で。
ファイル名は何でもいいのですが、拡張子は ".ico" にします。例えば "favicon.ico" って感じですね。これをサーバに転送します。
そしてHTMLファイルに次の一文を書き加えて、これも転送。
link rel="SHORTCUT ICON" href="〜/favicon.ico"
たったこれだけ。
もっとも設置は簡単でも、カッコいいファビコンを作るのが難しいってことはありますけどね。
