2004-04-04(Sun) [長年日記] 編集
_ Xの悲劇/エラリー・クイーン
泣く子も黙るエラリー・クイーンの『悲劇』4部作の第一作。
しかし、振り返ってみれば私はあまりクイーンには感化されていないな。好みと言えばクリスティやカーの方が上かな。
クイーンは好みが分かれるところ。かなり癖がある、といってもいいのかも。論理的な解決というのは、やはり動もすると理屈っぽく感じがち。悪く言うとへ理屈ともね。与えられた手掛かりからただひとつの、それも十分納得できる真実を導き出すというのは容易な事ではない。緻密であればあるほど謎が解かれた時の快感も大きい。そんなところが好きでミステリを読んでいるわけだけれど。
余談だけど、この辺は突き詰めていくと両刃の剣でもあるよ。小説上での真実とは何か?
ま、それはともかくクイーンはやはり見事。さすがパズラーの大御所。これぞまさにパズラー。
しかし、すんなりと万事が万事納得できるかと言うとちょっとなぁ。それは、翻訳物というところもあるけれど。この作品でもドルリー・レーンの推理は完璧。犯人も意外と言えば意外。でも、なのだ。何かもうひとつ面白みに欠ける。華がないと言うか。ドラマ性がないと言うか。この辺はさんざっぱら言われている事ではあるけどね。
ダイイングメッセージにも触れなければなるまい。クイーンとしては初めて扱った作品なのだとか。しかしその出来は…。まぁ、微笑ましいけどね。
やはりね、どうしても最後まで引っかかるところ。最初の事件で犯人に気づいているにもかかわらず何もせず、結果第二第三の事件を起こさせてしまうドルリー・レーンはどうなの? 神のごとき名探偵の弱点、あるいは欠点。
古典として敬意は示すものの、今読んでも楽しめるかって言うと微妙だ。それでも、ミステリ好きには外せないとも思う。が、『Yの悲劇』の方がどちらかと言えばやや勝るかな。もっとも個人的には『レーン最後の事件』が一番好きだったりするけど。
Xの悲劇 (創元推理文庫)
東京創元社
¥ 756
2004-04-06(Tue) [長年日記] 編集
_ りら荘事件/鮎川哲也
作者の工夫、ひとつひとつの仕掛けには目を見張るものがある。まさにパズラーとしてのミステリの真骨頂といったところ。これでもかと張られた伏線は、著者曰く「書くのに苦労しなかった」との言葉か信じられないほど計算され緻密で念の入ったもの。
ほぼ全編が伏線であるといっても過言ではない。余分な贅肉はなく全ては謎のためにあると言ってもいいぐらいだ。したがって名探偵・星影龍三に導き出された一分の隙もない推理には凡人である私はもはやうなずくしかない。いや、参りました。
だからといって、何もかもいいと言うわけではないのですねぇ、これが。ばらまかれた伏線・手がかりをまとめて真相を描く上で、どうしてもある種の整合性は必要。それをこじつけと感じるかどうかは読み手の問題だとは思うのですが、私にはどうも無理矢理パズルのピースを押し込んでいる感じがなきにしもあらず。
出来すぎ、というかちょっとご都合主義ではないでしょうかなどと不遜な事を思ったり。もちろん全ての小説はご都合主義だとも言えるのだけれど、そのさじ加減が好みに合うかどうか、ですね。
例えば毒殺に於ける犯人のトリック。
実際そんな事があるのか知らないけれど。なんだかなぁ、と思ちゃうのです。
やはり、本作も良くも悪くも古典なのだ。
りら荘事件 (創元推理文庫)
東京創元社
¥ 840
2004-04-08(Thu) [長年日記] 編集
_ スウェーデン館の謎/有栖川有栖
最初に読んだときには、いまいちかなと思ったのだが、改めて読んでみるとわるくない。真相解明の部分は小粒ながらもやはり引き込まれます。些細な手掛かりから導き出される真相。そこはそれ、魅せてくれます。うまく出来てますよ。ただ、どうしても有栖川氏だけにいつも期待する部分が大きいんですよね。もっとビックリしたいなぁ。
さて、今回の国名シリーズは長編です。テーマは「足跡のない殺人」。犯人はいかにして足跡を付けずに離れに出入りしたのか?
しかし、これって難しく考えずにごく単純にみれば、犯人が判ってしまうんでないでしょうか。ま、そこはそれあの手この手もミスリードでうまく隠していますけどね。
だいたい犯人はずいぶん面倒なことを、と思ってしまうのです。トリック自体は認めます。特に“ある物”の使い方が意表をついている。しかも、使い方というか仕込みも実にさりげないく不自然ではなく。が、ちょっと危ういような。だって、途中で“ある物”が…、ね。
その時はどうするつもりだったのかと余計なことも思ってみたり。もっと他に取りうる手段はあったと思うんですけどねぇ。ま、それを言ったらお話が成り立たないんだけど。
スウェーデン館の謎 (講談社ノベルス)
講談社
¥ 795
2004-04-11(Sun) [長年日記] 編集
_ 生ける屍の死/山口雅也
たとえ死者が甦るなんてヘンテコなシチュエーションでも、これは間違いなく本格パワー全開のミステリだ。密室トリックや毒殺トリックといった本格ミステリとしてのガジェットをこれでもかと詰め込んだ贅沢な一作。
殺しても死者が蘇ってしまうという状況下で犯す殺人にはどんな意味があるのか? 実はその事自体が大いなる伏線でもありトリックでもあるわけなのだ。自らも“生ける屍”と化したグリンがたどり着いた事件の真相は身震いするほど素晴らしい。もう黙って、著者の仕掛けた罠にはまっちまおう。判ってしまえばなんだそんなことだったのか、と思えるのだが、“生者”である私は見事に騙されました。ひとひねりもふたひねりもした真相に、私は思わず納得。舞台がアメリカだってのもミソだなぁ。
山口雅也は独特の癖があるように思えるのだが、大丈夫これは読んで間違いなしだと思うぞ。
ただ、日本と欧米での死についての考え方の違いか、死体に防腐処理をして葬儀に来た人々に陳列して見せるってのは、どうもグロテスクに思えるんですけどね。
生ける屍の死 (創元推理文庫)
東京創元社
¥ 1,260
2004-04-12(Mon) ハサミ男: 殊能将之 [長年日記] 編集
_ ハサミ男/殊能将之
「何か仕掛けがあるな」と判っていつつも見事に騙される快感。これはもうまさに“ハサミ男”なわけで。最初の1ページからもう罠にはまってるわな。一本取られました。
ミステリとしての出来はもちろんだけど、随所にちりばめられたブラックなユーモアのセンスも私好みだ。
ただ、「ハサミ男」の 殺人願望と自殺願望を合せ持つっていう内面がもひとつ伝わってこないのはちょっと残念。まあ、それはある理由から無理っていえば無理だったんでしょうけど。
ひとつ気になったことは、第三の殺人の真犯人って実際問題として比較的簡単に判っちまうんじゃないかって事。何だか犯人は策を弄して自らの首を絞めてるような気がする。まあそんな事はどうでもいい事なんだけどね。
あれやこれやと書きたいことはあるんですけど、結局のところネタバレになっちまうな。なんにせよ、面白い。どんでん返しの醍醐味を味合わせてくれる、小気味よい作品です。しかも2回読んでも楽しめる!!
ハサミ男 (講談社ノベルス)
講談社
¥ 1,029
_ 自動車税と愚痴と
年に一度のお務め、自動車税を払って参りました。我が愛車はスカイラインで、税額は45,000円なり。
ま、税金を納めるのは、店子が家賃を払うようなもので当然の義務だとは思っています。しかしながら毎度疑問なのは何故排気量によって税額が違うのか、ってことですよね。それって、何か根拠があるんでしょうか? そうそう、重量税もよくわからないし。
これも一種の累進課税なのだとか? 大雑把に言えば排気量が大きいほど価格も高くはなってくるわけですよね。要するに、大排気量の車の所有者はお金持ち、って判断してるとか。
でも、よくわからないのがロータリーエンジン。これは排気量に1.5を掛けたものが対象になるんだとか。理不尽だよなぁ。半ライスで充分お腹いっぱいなのに普通盛りと値段がかわらない、ようなものだよね、多分。
自動車税には道路を使用することに対してその整備費などを負担するための性格もあるそうなんだけど、それは何も車を所有している人だけの問題じゃないでしょうに。
そもそも昨今、国に対して支払うものは、どうもいかがわしい気持ちにさせられる。真っ当に支払っている人間は馬鹿を見ているんじゃないでしょうか。どうにも搾取って言葉がちらほらするよなぁ。国民年金なんか目も当てられないじゃないですか。こっちは払いたくなくとも自動的に持っていかれちゃうというのに。
大体においてだ。入ってくるものが少なければ、歳出をなんとかしようと思うのが普通でしょ。それもせずに(しているようには見えないぞ)もっとお前ら払え、って言うのはどういうことなんでしょうねぇ。
2004-04-14(Wed) [長年日記] 編集
_ そして二人だけになった/森博嗣
タイトルからして連想するのは当然クリスティの『そして誰もいなくなった』だよね。密閉された空間で連続殺人がおこり、当然最後に残ったふたりが犯人じゃない。外部からの侵入者が犯人なんて陳腐な解答でもなし、もちろんクリスティと同じなんてこともない。では誰が犯人?
これは素直に感心。こういう手があったのかぁ。アンフェアじゃないのか、といった細かいことはこの際言いっこなし。なんたって美しいと思うよ。その美しさでクラクラきちゃいました。
でももっとすごいのは、この飛び切りの謎と解答を著者自らあっさりと蹴っ飛ばしてしまったところ。この結末、というかラストの展開ははっきり言って好き嫌い別れるだろうなぁ。普通にミステリィとした場合この部分は蛇足とも感じられるんでしょうけど、このラストのもどかしさ具合が何とも気持ち悪いけど、嫌いじゃない。
そして二人だけになった (講談社ノベルス)
講談社
¥ 1,029
2004-04-16(Fri) 極限推理コロシアム/矢野龍王 [長年日記] 編集
_ 極限推理コロシアム/矢野龍王
第30回メフィスト賞受賞作。そして、デビュー作にしてドラマ化決定なのだとか。うん、確かにこれは映像向きだと思うよ。変な茶々を入れなければそれなりに面白いドラマになると思うなぁ。
しかし、読んで面白かったかというとこいつが微妙だ。そもそもこの舞台設定が受け入れることが出来るかどうか。意味もなく、ただゲームのために次々と人が殺されるってのは読み進めるにはちとつらい。
ゲームの主催者側についてはいっさい触れられていないので、この嫌悪感の持って行き場がないのだ。やっぱり大嘘でもいいからもっともらしい理由をつけてくれないとさ、「頑張れ主人公! この理不尽なゲームに勝利して主催者を見返してやれ」ってな気持ちにもなれないのだ。どうも最後まで湿気ったおせんべいを食べてる気分だ。
タイトルに謳っているほど推理が展開されるわけでもないので、その辺期待すると肩すかし。最後に解決篇があるけど、あんまり美味しくない。もう少し相手側との情報合戦・駆け引きなんてのがあればなぁ。
事件はひとつだけにして、交渉でいかに真実の情報を手に入れ推理していくか、って展開はどう?なんてことを思うのだった。まぁ、物語の趣旨が違うんだな。要するにこれはパズラーではなくゲーム、なのだ。だから、映像には向いていると思う。
極限推理コロシアム (講談社ノベルス)
講談社
¥ 861
_ 春になると…
春になるとアヤシイ、もしくは危ない人が多くなる。
つい先だっても某大学教授が手鏡を使って女子高生のスカートを覗き見して捕まったというニュースが世間を賑わしていたけれど、書店でも万引きに次いでこの手のバカヤロウが結構いるのだ。
先日も店内に挙動不審な人物を発見したわけですよ。女子高生の後を追って、あきらかに足の動きが怪しい。すかさずピンときましたね。非常警報発令。案の定そっと近づいて足下を見ると靴の爪先のところに穴が! どうにも不自然な穴なのですよ。足にカメラを仕込んでるな。こいつはもはや一目瞭然の隠し撮り、盗撮野郎だ!
すかさず捕まえたのだが、不意をつかれて逃げられる。くそっ! こちらも反撃、猛ダッシュの大追跡。逃がしやしないぜ、足には自信があるんだ。頭の中では「太陽にほえろ!」のテーマが(古い)。追っていくうちに、相手もバテてきたのかスピードが鈍ってくる。しめた、こいつは捕まえるのも時間の問題だ。しかし、一向に距離が狭まらない。むしろ、開いていないか? どうなってるんだ・・・。
おー、なんてこったい! こっちの方がもっとバテバテだよ!! 走っているつもりがもはや競歩以下の速さ。オヂサンつくづく体力のなさを感じたよ。
で、結局取り逃がしました・・・、無念です、山さん。
ま、なにわともあれ。女性の皆さん、立ち読みしている時はお気をつけ下さい。無防備状態ですよ。
2004-04-18(Sun) [長年日記] 編集
_ 遠すぎた橋
今じゃ、もしかしたらマイナーな作品になってしまっているのかもしれがいが、公開当時は大々的に宣伝していたっけ。特番もあったしね。なにせ制作費が90億円(77年当時でだよ)。キャストもかなり豪華な顔ぶれ。まさに《大作》といっていい映画だった。
第二次世界大戦中連合軍が行った《マーケットガーデン作戦》を描く本作。しかし、友人と勇んで観に行ったのはいいが最初の感想は最悪。何か所かで起こっている戦いを同時進行でみせるため、何も予備知識なしで見ると全く分けの判らない映画ってことになる。「ここは何処?あなたは誰?」ってことね。
オールスターキャストの宿命っていうか、それぞれのスターに見せ場があるんだけどこれが、ストーリーには全く関係なかったり。ぶつ切りのシーンのごった煮映画って様相。
その後原作(『遥かなる橋』コーネリアス・ライアン/ハヤカワ文庫)を読んだり史実を調べたりした後観ると俄然面白い映画に。戦争映画だけど、なんだかやるせないのだ。連合軍の負け戦ってこともあるのかもしれないが、『史上最大の作戦』とかの雰囲気とはずいぶん違う。そんなところが好きな理由だったり。
遠すぎた橋 特別編 [DVD]
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
¥ 4,179
2004-04-19(Mon) [長年日記] 編集
_ ガラクタと宝物
自分の部屋を見回すと、我ながらつくづくガラクタが多いと思う。だが、どうしても捨てる事が出来ない。これは昔からの性分。子供のころは何処かで拾ってきた石なんかを後生大事にとっておいたりしたものだ。それらの物はその時々の心の形でもあるのだ。人にはガラクタでも本人には宝物。だから机の引出しの中はそれこそ宝箱。そうは言っても、やはりガラクタはガラクタなんだけどね。
流石に今はもう石ころなんかはないけど、それでも今では使わなくなったものなんかがね。安易に捨て去るってのもどうかと思うが、さりとて邪魔は邪魔だし。人にあげるとかリサイクルに回す、はたまたオークションに出してみる。いろいろと処分の方法はあるけど、結局のところ手放せないのだ。自分の中の何ものかも一緒に捨て去るようで。そんなわけで、ガラクタはたまっていく一方だ。でも、部屋の空間には無駄だけれど、心の空間には無駄じゃない、ってことでね。

これもガラクタのひとつ。初めてのMac、"Power Macintosh 7600/200"。今ではもう起動することも出来ないけれど、それでも処分することが出来ない。なんといっても初めて買ったMacintoshだからねぇ。欲しいと思ってから苦節何年という想いが詰まっているわけなのだ。
2004-04-23(Fri) [長年日記] 編集
_ 入院

入院することになってしまいました。虫垂炎の親戚のようなもので。先日から具合が悪くて診察してもらったら、即入院と相成りました。
手術とかはなく、ひたすら抗生物質の点滴を射つだけなのですが。しかし、その間飯が食えない!いつまでなの!?
あぁ、退院したら焼き肉を食べるぞ、とささやかな野望を胸に今ベッドの上にいるわけです。
そんなわけで更新もしばらくお休みになるかなと。
2004-04-25(Sun) [長年日記] 編集
_ 相変わらず

一日中点滴三昧。そして何も食べられず。飯も勿論だけれど、今目の前で踊っているのは、実はビールなのだ。ああ、出来ることなら、ビールの海で泳ぎたい。
持参した本も読んじゃって暇だったらありゃしない。若干活字中毒禁断症状。ちなみに「オーデュポンの祈り/伊坂幸太郎」と「さよならの代わりに/貫井徳郎」。感想文は後日。
しかし、携帯のなんと便利で有り難い事よ。
2004-04-29(Thu) [長年日記] 編集
_ さよならの代わりに/貫井徳郎
最後の別れのシーンでは思わず、涙。そう、さよならの代わりには「またね」と。さよならは別れの言葉じゃないかもしれないけれど、別れの言葉はいつでも「またね」と言いたい。たとえ二度と会うことが叶わなくとも。最初は砂糖を入れすぎた珈琲のような物語も、最後の一口はほろりと苦く。
と、ラストシーンはベタ好きな私のツボにはまったんだけど、全体の内容はちょっとお寒いかなぁ。軟弱男の主人公が鬱陶しくってたまらない。思わず「修正してやるっ!」って叫びたいほど。こいつを許せるかどうかで評価も大ききかわるぞ。主人公に感情移入できないのは楽しめませんわ。
ミステリの部分が大味なのは、こちらが本筋じゃないからいたしかたないか。これは謎の美少女・佑里を巡るお話なんだから。
で、その佑里の秘密なのだけれど、これはまた。読んでる時は強引に納得させられたけれど、後でさんざん考えさせられたよ。
実際にあり得るのかなんってことは野暮だとしても、素直に納得もできないよなぁ。そんなこと考えていたら、確かドラえもんでも似たようなネタがあったような。
最後に。どうしても助けたかったのなら、いっそのこと先に犯人を殺してしまえば…、なんてことは不謹慎ですね、ハイ。
さよならの代わりに
幻冬舎
¥ 1,680
2004-04-30(Fri) [長年日記] 編集
_ 終戦のローレライ/福井晴敏
著者がガンダムの小説を書いているせいか、どうもガンダムの影が目の前をチラチラするのは邪推し過ぎか。しかし《ローレライ》ってどう考えてもアレを連想してしまうのだが。そんなわけでキャラクターのイメージが、折笠はアムロ、フリッツがシャアに勝手に重なる。もちろんガンダムとは全然関係のないお話だし、なにより邪推は全く問題にならないほどの面白さ。
ただ、『 亡国のイージス 』と比べるとどこかイメージがちょっと違う気がする。いい意味での大ボラ話になっていると言うか。でも、戦闘場面は確かに大迫力で面白いんだけど、よーく考えればそんなことはあり得ないだろうとツッコミも入れたくなるなぁ。『沈黙の艦隊』じゃあるまいし、そんなピンポイントで魚雷なんてものを撃てるのかよ。キャラクターにしたって、『亡国のイージス』のキャラとかなり重なったり。
なんて事言ってますが、やはりそんなことはどーでもいいくらい、脳みそガシガシ揺さぶられるぐらい面白い。読むのに腰が引けそうな分量だけれども、要所要所に配置された山場により片時も飽きさせない。特にクライマックスのぽんこつ潜水艦対米機動部隊だけでも鳥肌もので熱くなること請け合い。
迫りくるタイムリミットの中、絶望的な状況下でも戦う男たちの姿は美しくそして哀しいのだ。もう熱い涙なくして読めない展開。男気を揺さぶる一作。この圧倒的な分量を苦にならずに読ませる著者は、結構童顔なのにすごいなぁ、ってそれは関係ないか。
この話はもちろんフィクションだけど、過去において日本と世界が戦争していたってことは事実。どこで見たのか忘れてうろ覚えだけど「人類は戦争から何も学んでない」という言葉。そんなことがふと思い付いたりもした。未だに最終的な《国際的問題解決》は武力だったりするもんなぁ。彼等は何を護るために戦い死んでいったのか。そもそも何のために戦ったのか。戦争は必要なのか。正解のない問題だけれども、しばし作者の問いに想いを馳せてみるのだった。
終戦のローレライ 上
講談社
¥ 1,785
終戦のローレライ 下
講談社
¥ 1,995
_ 映画『アルマゲドン』
今更ながら『アルマゲドン』を。以前から観たい映画ではあったけれど結末を知ってしまったのでなんとなく食指が動かなかった。できれば避けて欲しい結末なんでね。そんなわけで、初めて観たわけなんだけどそれほどは楽しめなかったかなぁ。
この映画のウケたのってクライマックスのブルース・ウィルスとリブ・タイラーのシーンあたりにあるんでしょ、きっと。これを描きたかったんだと思うわけ。ここでワーッと盛り上がってね。 だとするとそこまでの過程がいかがなもんかなぁ。スペースシャトルの打ち上げのところからしか観てないんだけど、これでもかってぐらいの危機また危機の連続で、激しい派手なシーンが続く。
でも、どうも力技任せで嘘くさいんだよなぁ。 映像表現だからといってしまえばそうなんだけど、スペースシャトルがあんなにアクロバティックな飛行ができるんかい?あんなに2機接近して飛行できるんかい?そもそも、小惑星だかなんだか知らんが、そんなもんに着陸できるんかい?
しかし、そういう点はここではマイナスとはしない。映画としてはそれはそれで、面白いからね。何が問題かといえば、あの展開からいくと最後はハッピーエンドで終わらないと面白くないわけ。とてつもなく難しいミッションを多大な犠牲を払って、しかし最後には成功するカタルシス。
もちろんこの映画も地球は救われるからハッピーエンドと言えば言えるけど、私的にはどうも救われないのよ。ブルース・ウィルス死んじゃうし。主人公が死ぬのはどうもなぁ。
かといって、主人公が死ぬからつまらないというわけでもなし。バランスの問題かな。『アルマゲドン』はミッションの途中で人が死に過ぎてる。例えば誰も死ぬことなくいろいろな危機を乗り越えてあと一歩のところまで来る。が、最後にきて問題発生。そしてひとり残るブルース・ウイルス。こんな展開なら最後の親娘のシーン、もっと感情移入できて盛り上がる。と思うのは好みの問題?
それはともかく、最近の映画って映像の上では何でもできちゃうからそれに頼りすぎちゃってる感があるって思うのは傲り過ぎかな。
アルマゲドン [DVD]
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
¥ 1,188

