酔眼漂流記


2004-05-20[木] 古処誠二 [長年日記]

[読書][古処誠二]分岐点

『ルール』に続いて舞台は太平洋戦争末期、日本。「何故、殺害したのか」という点で取り上げればミステリであるともいえるがそれでもやはりミステリではない。でも、もともと著者は“ミステリ”を書こうという気はないのでは。それは『ルール』はむろんの事、他の作品でもいえる事だと思うのだ。ミステリはあくまでもフレーバーじゃないかと。

で、感想なのだか、思う事は「正義とは何か」ってことだな。もっとも著者が書きたかった事、それを私が正しく受け取ったかどうか判らないが。世の中“正しい事”なんてない、と思うのだ。立場、状況が変われば正義の解釈も変わる。敢えて言うなら、声の大きい方なんだろう。例えばだが、つい最近戦争を起こしたあの国は正しかったのか、というよりも間違ってはいなかったのか。おまけに付和雷同しているように見える某政府。この物語は過去の日本の話だが、決してそれだけではないと思うのだ。今も形を変え、状況を変えておこっているはずの話。

最後の成瀬の独白は痛烈な皮肉に聞こえた。正しくはなくとも間違った事はしたくない、と思う私なのだった。

分岐点
古処 誠二
双葉社
¥ 1,785