2005-02-04(Fri) [長年日記] 編集
_ 十八の夏/光原百合
今ひとつ自分の気持ちと隔たりがある。繊細できれいな文章で読むのに苦にならないけど、一歩下がったところで見てしまうのだな。物語を楽しめるかどうかはよくも悪くも感情移入できるかどうかなんだと思うのだが、ここに登場する人たちの気持ちなり行動なりが素直に落ちてこないのだ。
単に私が天の邪鬼だけなんだろうけど。要するに「ちょっと出来過ぎじゃない?」ってことか。現実はもっとドロドロしたもんだよなぁ、もう少し毒を含んでもいいよなぁ、となんだかひねくれた感想。決してハッピーエンドは嫌いじゃないけれども。
話は脱線する。例えば北村薫の『空飛ぶ馬』。そして、加納朋子氏の『ななつのこ』。同じような話だ、なんて言ったら怒られちゃいそうだけど、同じタイプのお話でしょ。でも、『空飛ぶ馬』の気持ちはしっくりくるんだけれど、『ななつのこ』は微妙な違和感を感じる。これだけの例で言うのもなんだけど、こうして見ると作者の性別は影響するんでしょうか。もちろん、光原・加納両氏が女性の前提の話ではあるけど(女性ですよね?)。
男と女、お互い相手の事を本能の部分、と言うか感覚的なところで理解できないのも確かだと思うのだ。物語を創作するということは自分の分身を創るのと同じ事である以上、性別の違いで気持ちの手触りみたいなところでしっくりこないってこともある、のかな。何となく思うのであった。
十八の夏
双葉社
¥ 1,680
2005-02-06(Sun) [長年日記] 編集
_ 未熟の獣/黒崎緑
どうにもとっ散らかった印象を受けるなぁ。サイドストーリーの詰め込みすぎと受けとっちゃう。メインのストーリーに絡んでいろんな話が発展、といえば聞こえがいいけどいったいメインのストーリーってどれ?
それぞれのストーリー自体は悪くないと思うがどうにもバランスが悪い印象。公園デビュー出来ない母親の話なんて、どうもありきたりで無くてもいいんでは?
あまりにも意外な犯人には逆にビックリだし。最後にああいうオチを持ってくるならもっと話のもっていき方があるんじゃないかと素人考え。
『未熟の獣』のタイトルの示す意味というか、真の"犯人"は誰かってことの意味は最終章にあるのかな。だから全章までは前フリだと思えばそれはそれで納得は出来ますけどね。
最後に。難しい読みの名前の子供が何故狙われるのかって説明はなるほどと思う反面、それっていかにも作者サイドのこじつけじゃあないだろか。読もうと思ったポイント部分だっただけにちょっと肩透かし。
未熟の獣
小学館
¥ 1,995
2005-02-07(Mon) [長年日記] 編集
_ ジュリエットの悲鳴/有栖川有栖
90から98年にかけて発表された単行本未収録の短編集。著者自身「ごった煮」と表現するように、テーマもタッチもバラバラな作品集。ちなみに火村・有栖も英都大学の面々も出番なし。
この中で一番ウケたのは『世紀のアリバイ』だ。400字詰め原稿用紙五枚というショートショート。この短さの中に思ってもみなかったこんなオチを持ってくるとは。しかも、知る人ぞ知る明白すぎる伏線。でも、私は初めて名前を知りました。それにしても、殺人犯にされて怒ってないかな、犯人は。ともかくタイトル通りにとてつもないアリバイ。
『登竜門が多すぎる』は大爆笑の一編。実は作家有栖川有栖の願望もかなりはいっているのではないかと勘ぐってみたり。それにしても「一太郎」に続く作家専用のワープロソフトのネーミングは最高。そんなソフトがあるなら、私も欲しい。ただ、オチがありきたりなような気がするのがちょっと物足りない。もっとツイストを効かせてくれてたらなぁ。ちなみに読んでる最中『笑うセールスマン』が思い浮かんだ。だから、心構えとしてはそんな風なオチを予想してたんだよね。
相変わらず芸達者なところをみせて、それこそ幕の内弁当のようにいろいろな味わいのある12編。笑いあり、サスペンスあり、幻想小説風あり。バラエティに富んだその内容は、短編ということもあって最後まで飽きることなくあっという間に読了。
ジュリエットの悲鳴 (ジョイ・ノベルス)
実業之日本社
¥ 860
2005-02-24(Thu) [長年日記] 編集
_ MISATO V20 スタジアム伝説〜最終章〜 NO SIDE
好きなアーティスト、意識する事無く聴く歌声。いろんな時に助けられている存在でもある渡辺美里。彼女の代名詞とも言える夏の恒例の西武スタジアムライブ。このところずっと欠席していました。所沢まではだんだんとしんどくなってきたなぁ、というのも正直あったりしてね。それでも、今年は節目の20回目だからぜひとも行かねばと思っていました。それなのに最終章だなんて。
もちろん、これで活動停止で、何もかも終わりと言うわけではないんだとしても。やはり呆然としてしまうなぁ。夏の暑さとスタジアムの熱気。暮れゆき、薄紫のベールに包まれる空。天空に突き抜けるみさっちゃんの歌声。興奮の一夜。まさに真夏の夜の夢。
野外のライブは屋内とは別格の一体感。雨に振られたりしたりとか、必ずしもいいコンデションじゃなかったりもしたけれど、それも全てひっくるめてあの夏の一日はいい思い出なのだ。いつまでもあると思っていた。喪失感。たとえ行けなくとも、8月の最初の土曜日はいつも意識していた。ああ、やっぱり寂しいよ。
おお、なんとしても行かねば!
2005-02-28(Mon) [長年日記] 編集
_ ER/つかの間の安息
SUPER CHANNELとLaLa TVで「ER」のファーストとセカンドシーズンをを放映している。もう結構観ているけれど、やっているとついつい観てしまう。
ファーストとセカンドを観比べると、やはりファーストの方がいい。そして、ファーストシーズンはどれも優劣付けがたいけれど、個人的にはこの『つかの間の安息』がベスト。細かいエピソードの積み重ねで一話が成り立っているわけだが、この回はハイウェイの多重衝突事故と言うメインのテーマにどれも収束されて、悲喜こもごも、見終えたあとの充実感にあふれている。無駄がないよなぁ。
途中に挟まれる出産のエピソードを、最後のオチに持ってくるなんて憎いしね。それまでの、緊張の連続を一気に和らげてくれる。
そして、なんと言っても一番好きなのがボブの活躍シーン。死に瀕している人を目の前にして、本当はいけないんだけれど、思わず手術を行なってしまうボブ。自分のことよりも患者を救うと言う医師の強い心。「ER」のテーマのひとつの表れだと思うのだけれども。もう何度も観たけれど、未だに鳥肌もんなのだ。この後この話が活かされることもなかったようなのがちょっと残念。
余談だけれど、邦題はどうなの?と思わざるを得ない。物語の前半部分から取られているんだろうけど。原題の「ブリザード」そのものの方がこの回を表していると思うなぁ。本物の嵐と、そのために起きた事故患者の嵐。
もうひとつ余談。セカンドシーズンは作り手として、いろいろな意味でファーストを意識せざるを得なかったんだろうと思う。絶賛されただけにやり辛いとか、同じことやっていたんでは飽きられることもあるしね。だから、いろいろとプラスαされていったように思えるんだけれど、正直それが雑味に思えたりもするんだな。特にセカンドは人間関係に緊張感あふれている、言葉を返せばギスギスしているって感じでもちょっと引けてしまうんだよなぁ。
おまけに舞台のERの見取り図を。
画面で見ると恐ろしく狭い印象だけれど、結構広いんだね。
