酔眼漂流記

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2005-03-06(Sun) [長年日記] 編集

_ 2005F1オーストラリアGP

今年もいよいよF1開幕。まずは第1戦オーストラリア、メルボルン。レギュレーションがいろいろと変更となって注目の一戦。各チームとも蓋を開けてみなければ判らないと言った部分も大きいのでしょうね。

予選一回目はめまぐるしく変わる天候に翻弄された各チーム。路面のコンディションの具合でタイムも大きく差が出る。いい条件下で走ることが出来たルノーのフィジケラが予選一回目のトップ。佐藤琢磨は激しいにわか雨の最中のタイムアタックとなりスピンアウト。結果ノータイムの19番手に。M.シューマッハも雨の影響で最下位。

今シーズンから予選は一回目と二回目ののタイム合算方式。しかし、今回のように一回目を、自分のミスで失敗したならともかく、天候に左右されちゃうと気の毒だと思わずにはいられないなぁ。こうなると二回目で挽回するのは至難の業と言ってもいいかも。フィジケラとシューマッハのさは24秒もあるのだから。いくらシューマッハといえども、これでは相手がこけてくれない限りはねぇ。まぁ、「これもレースさ」ってことなんだろうけど。

予選は予選として。もっとコース上で抜きつ抜かれつの展開が出来るようになればとも思うのだけれど。

結局ポールはフィジケラが制し、レースもそのままフィジケラが優勝。2度目の優勝。初優勝は実力というより、運の部分も大きかっただけに今回は喜びもひとしおだろうなぁ。もうまぎれもない完全優勝。もっとも今回も天候に助けられたって面もなきにしもあらずなんだけれども。雨男なのか。

シューマッハは結局いいところなく終わり。最後はハイドフェルドと絡んでリタイア。6年ぶるに開幕リタイアなんだとか。今シーズンは早くも赤信号、大丈夫か!と思うけれど、11位スタートのバリチェロが2位だからフェラーリ自体は問題なし、ってとこか。でも、昨シーズン末からどうもシューマッハらしからぬドタバタが出ているあたり、気にはなるなぁ。

佐藤琢磨。ムムムム……。どうにもやはりツイていない人なのでしょうか。うまく廻っていないような印象だよなぁ。去年があるからどうしてった期待しちゃうけれど、そんなに簡単なことではないよな。忘れちゃいけないのは、BARホンダは昨シーズンコンストラクターズ2位だったけれど、一度も優勝がないってことだ。不調だったマクラーレンやウィリアムズだって優勝している。この差はバカに出来ない程大きいんだろうね。それでも頑張れ琢磨!なのだ。一喜一憂するのもこれまた楽し。どちらにしても酒の肴なのだ。やけ酒よりも美酒になる方がうれしいけれどね。<

まぁ、波乱含みではあったけれどもルノ—の優勝は意外ってわけではないか。ラッキーな面はあるとしても。意外問いったら失礼かもしれないけれど、レッドブル。4位と7位は、全くの新人チームじゃないとしても、いい結果だよなぁ。

そしてミナルディ。直前まで走ることが出来ないのではと心配していたけれど、何とかなりました。

「新レギュレーションの車がまだ間に合わないから、取りあえず昨シーズンの車で走らせてね、フェラーリさん」

「しょーがないなぁ」

一番応援しているのは、実はミナルディなのよね。もう成績なんてどうでもいいから、走れミナルディ!ってな感じ。何気に現F1の一服の清涼剤だと思っております。


2005-03-07(Mon) LORELEI [長年日記] 編集

_ ローレライ

「ローレライ」を観てきました(多少内容に触れていますのでお気をつけ下さい)。福井晴敏の『終戦のローレライ』の映画化。もっとも原作というよりも、ひとつの発想が方や小説となり、そしてひとつがこの映画になった、ということです。別のものと言ってもいいのかもしれません。

それでも、原作を読んだ方がより楽しめるのは確かかもしれないです。ストーリーの密度が高いため、初めて見ると解り辛いかも。映画の短い時間の中で、スパッとそぎ落とされた情景からキャラクターたちの心情を読み取っていくのも、ちょっと苦しいのではないかなぁと。逆に小説を知っていると「えー!?」と思う部分もあるんですけどね。

見る前は一抹の不安もありました。宣伝は面白いのに、ってことがありますものね。自分の中でも結構盛り上がっていただけに、もしもの覚悟だけはして映画館へ。しかし、それも杞憂でした。面白い。そして泣けます。細かいところはツッコミを入れたくもなりますけど、まずはとても素敵な「おとぎ話」です。見事な大風呂敷と言えましょうか。「嘘っぽさ」がなくて、最後までキチンと大嘘を突き通してくれてます。

帰って来てから、思い起こされるシーン。小説同様最後に折笠とパウラは切り離されます。小説を読んだ時には気になりませんでしたが、その決断をした艦長の想いが今はとても素直に伝わってきます。それは、実際に存在する折笠とパウラを見たせいかも知れません。その存在の確かさ。私も艦長と同じ世代。父親の気持ちってヤツでしょうか。

「大人が起こした戦争におまえ達若者を頼りにして悪かった。俺たちは自分以外の何か見えないものに身を委ねる生き方しかできなかったけれど、おまえ達は自分の目で本当に大事なものを見極め、守り抜け」

絹見に責任があるわけではもちろんないけど、あの場で、兵器として生きることを背負わされたふたりを、戦争の呪縛から解き放ってあげるのが大人としての努めだと思うのです。大人であることの意味。責任の持ち方。潔さ。別に大したことをしなくても、大人はいい加減だなと思わせないこと。それが次の世代へと引き継ぐ大人としてのけじめなんだろうなぁ、とぼんやり思うのです。そんなことをメッセージとして受け取りました。

とまれ、もういちど映画館に行くのもやぶさかではなく、DVDが出れば買うな、と言って出来具合なのでした。

ローレライ [DVD] ローレライ [DVD]
福井晴敏
ポニーキャニオン
¥ 919

Tags: Movie

2005-03-10(Thu) [長年日記] 編集

_ キルケーの毒草/相原大輔

前作『首切り坂』から一転してずっしりと手応えのあるボリューム感。ページ数だけみれば、『首切り坂』が一冊終わるところでようやく事件。しかし、ここまで長編の必要があるのかは少し疑問。読んでいるのが退屈になる場面もしばしば。特に繰り返される毒薬談義は、もちろんそれにもちゃんと意味があるにせよ、もう少しスマートにならなかったものかなぁ。

大長編を書くぜ!という意気込みは感じられるものの、ついたのは必ずしも筋肉じゃなくて贅肉も多いんじゃないの?ってのが感想だったりする。

そのせいか、肝心の事件がどうにも印象が薄い。膨大なペダントリーの中に埋没してしまった感じ。もっとも、与えられた手掛かりから犯人を推理するってタイプじゃない。探偵奇譚という雰囲気を味わう分にはいいのかも。ウーム、この辺は趣味の違い。

その雰囲気だけども、前作の明治って感じはよく判ったんだけど、大正時代ってのは……。もっとも、これは私自身が大正時代のイメージをよく掴めてないせいなんだろうけどね。明治と昭和の間の時代、って認識しかなかったりだよなぁ。

結構な数のキャラクターが登場するけれど、結局秀典男爵独りに全部持っていかれてしまっているのも問題ありかな。

以下ネタバレ。

続きを読む(!ネタバレを含みます!)

やっぱりこれもそうか。

意味があるようでないような冒頭の「怪談」話。いったいどうなるのかと思えば、ちゃんと最後に本編に収束させたのはお見事。が、これもお話を複雑にさせただけのような気もする。これはこれで別のお話だよね。

プロット自体、著者がやりたいことは面白いと思うんだけど、いかんせん風呂敷を広げ過ぎかな。詰め込み過ぎとか。ストーリーが少々破綻気味になっていません?

でも、その心意気は大いに買うぞ。ふんだんに盛り込まれたミステリへのオマージュには親近感を覚えるし。何かしら引っかかるものがある。偉そうに言わさせて頂けば一皮むければどえらいものを書きそうな雰囲気はあるよ。それと、前作のような笑撃的なインパクトも待ってます。

キルケーの毒草 (カッパノベルス) キルケーの毒草 (カッパノベルス)
相原 大輔
光文社
¥ 1,300

Tags: Mystery

2005-03-14(Mon) [長年日記] 編集

_ モロッコ水晶の謎/有栖川有栖

助教授の身代金

火村英生誘拐される、なんて話ではなく。やはりこれは「キングの身代金」の捩りなんでしょう。ただの誘拐事件にひとひねり加えて。誘拐や殺人といったことより、人のギトギトし思いが、なんだかやるせなく救いのない話です。

初対面で会った瞬間に犯人と気づく火村。犯人のさりげない間違いからの指摘。この辺りの展開は、お好みです。一番ミステリしている部分かな。

ABCキラー

不満なのは挑戦状の件。これも、まぁそう言うこともあるだろうけど、着地がスマートじゃないよなぁ。そういうことを期待して読んでいるわけではないと思いますよ。解決はするものの、解らない部分も置き去りってのも読んで消化不良。もしかして本家を読まないと充分に面白さが解らないのかと、無性に『ABC殺人事件』が読みたくなって購入しちゃいました。クリスティも未読がまだまだあるのです。

推理合戦

箸休め的な掌編。実は一番面白いとおもったり。他が、重いのでホッとできるのが好印象。推理よりとんち合戦のような内容ですけど。

モロッコ水晶の謎

衆人環境の中でグラスに毒を入れる方法。そして、そのグラスを被害者自らに選ばせる方法。毒殺トリックは、もちろん納得は出来るのだけど、ちょっと逃げちゃっている感じです。ソレヲトリックトイウノデスカ。信ずるものは救われる、ってことですかね。ただ、この物語のコアを的確に表しているタイトルはなかなか。

本編とは関係のないところで引っかかったのは有栖の次の台詞。

「自分の作品にモデルを使わん主義なんや。この家で起きた事件が、おいしくアレンジされて推理小説になることはないよ」

今まで、火村シリーズは作中の有栖が書いていると思っていたんですが、違うのですね。もちろん実在の有栖川有栖が書いているんですけど、それは作中の有栖川有栖の小説と言う体裁をとっているのだと勘違いしてました。

実質3編ってのはちょっと食い足りない感じではあります。特に「助教授の身代金」と「ABCキラー」はテイストが似ているから余計に。全体として可もなく不可もなく、いつもの有栖川有栖と言ったところでしょうか。

今回から、表紙のイラスト作者が変わったそうです 。しかし、言われないと気がつかないかも。

モロッコ水晶の謎 モロッコ水晶の謎
有栖川 有栖
講談社
¥ 903


2005-03-23(Wed) [長年日記] 編集

_ ABC殺人事件/アガサ・クリスティ

ポアロの元へ送られる犯罪を仄めかすの手紙が届きます。そして、その予告通り繰り返される兇行。被害者に共通点を見出すことが出来ず、不明な犯人の動機。ひとつ解っているのは、Aの頭文字の地名で、Aの頭文字の人間が殺され、B、Cと続いていくこと。死体のそばにはABC鉄道案内が残されていること。

クリスティの代表作であり、ミッシング・リンクものの代表作ですね。無差別殺人に見える、全く不明な犯人の目的は何かってのがポイント。容疑者が不明なのはもちろんのこと、誰が殺されるかも不明なのですから挑戦状を送られたポアロも今回は手こずります。

その後に続く他の作家によるもっと刺激的なバリエーションを知ってしまった今読んでみると、流石にその真相にビックリってことはないです。その辺りは「古典」の宿命でしょうか。途中挟まれる三人称の部分も、いかにも怪しい、騙されちゃいけないって感じですしね。

それでも、些細な事実をすくい採って真実を浮かび上がらせるポアロの解決シーンは堂に入ったもの。さすがクリスティ女史、安心して読んでいられます。特に何故犯人はポアロに挑戦状を送りつけたのか。名探偵に挑戦状を送りつけるなんて、それだけで納得してしい気にもしませんでした。実はそこが事件の重要なポイントでもあります。ポアロが明かす犯人の真の意図とは。

読み終えて法月綸太郎氏の解説みるとまた別の感想も。それを知って見方が、ちょっと大袈裟に言いますと180度回れ右。真の主役は誰なのか。そうしてみるとタイトルはダブル・ミーニングなのかな。ミステリとしての面白さはもちろんですけど、物語性の豊かさがクリスティの魅力でもあると思います。

ABC殺人事件 (クリスティー文庫) ABC殺人事件 (クリスティー文庫)
アガサ・クリスティー/堀内 静子
早川書房
¥ 798

Tags: Mystery

2005-03-24(Thu) [長年日記] 編集

_ 海のある奈良に死す/有栖川有栖

「行ってくる。『海のある奈良』へ」

有栖川有栖の作家仲間である赤星楽はそう告げて取材旅行に旅立った。翌日、彼は福井県の小浜で死体となって発見される。赤星の死の謎。そして、彼が書こうとしていた『人魚の牙』とはどんな小説だったのか。有栖は赤星の無念—構想だけで形にならなかった小説—をすくい上げたい想いから、火村英生とともに小浜に向かう。

ミステリを読むときに結構こだわるのは動機に関して。「なるほど」と思わせてくれればもちろん幸せですけれど、多少強引でも納得させて欲しいですね。今回はどうでしょう。もちろんその理由自体は充分納得できるところに着地はしているます。けれど、それを言ったら犯人は今までも殺人を犯してなきゃいけなくありません?何故、今回だけ人を殺めなきゃならなかったのか、ってところが充分伝わらず。

タイトル(このタイトルは秀逸ですね)に絡む著者のトリックというか仕掛けはとても素晴らしい。「海のある奈良」とは本当に小浜のことだったのか。殺された知人の作家が構想していた作品『人魚の牙』に有栖は想いを巡らすんですけど、それがそのまま事件のキィになっています。事件が解かれるのは、すなわち被害者がどんな作品を思い描いていたのかが解る瞬間でもあるのです。

そういった意味では実はこの物語自体が『人魚の牙』とも言えますね。そして、殺人事件のミステリよりも『人魚の牙』にまつわる謎の方がメインと言ってもいいぐらいです。人魚や八百比丘尼と言った伝承、海のある奈良である小浜の歴史などの部分がかなり割かれているのも—事件の本質とは無関係ですよね—そのためなのかもしれないですね。もっとも実際に赤星が考えていた「海のある奈良」は……、ご愛嬌ですか。

海のある奈良に死す (角川文庫) 海のある奈良に死す (角川文庫)
有栖川 有栖
角川書店
¥ 630


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