酔眼漂流記

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2005-04-04(Mon) [長年日記] 編集

_ 殺人処方箋/刑事コロンボ

記念すべきコロンボ警部(実際は警部補)のテレビデビュー作。もちろんどこからみても「コロンボ」だけれど、今改めて見るとやはりシリーズ化前の単発ドラマと言うこともあって別物の印象も。

コロンボというか、ピーター・フォークが若い。キャラクタの造形も若干違うように思います。スタイルも後のコロンボとは違って結構ビシッと決めていてヨレヨレ感があまり無し、シャープな印象。トレードマークのレインコートをあまり着用していませんし。

元々は舞台劇。実は主役はコロンボじゃなくて犯人の精神科医フレミングの方が主役だったんだとか。犯人が主役ということで倒叙形式というのは必然だったのでしょうか。

犯人のフレミングが替え玉を利用して仕掛けたアリバイトリック。そして、最後に自らが同じ手に引っかかると言うオチはやはり見事。この対比が素晴らしい。派手さは無いけれど、一本芯が通っていて、抜群の完成度。

惜しむらくは、DVDに収録されている日本語版はNHKのオリジナルではないと言った点。後に制作された日本テレビ版。小池朝雄以外は違うキャスト。もちろん内容に相違はないので個人的な趣味の問題でもあるのですが、若山弦蔵は、ジーン・バリーの風貌も相まって、どうしてもジェームス・ボンドを連想しちゃうのです。きまり過ぎていてかえっていやらしい。遥か昔に一回か二回しか見ていないものの、自分の中では未だに瑳川哲朗のイメージが残ってますね。

日本での放映時にはカットされた部分を、銀河万丈が吹き替えを担当。今回初めて銀河版コロンボを見ましたけれど、変な違和感も無くなかなかいい雰囲気じゃないですか。石田版コロンボよりも好印象。

Tags: TV Columbo

2005-04-05(Tue) [長年日記] 編集

_ 死者の身代金/刑事コロンボ

前作「殺人処方箋」が舞台劇のテレビドラマ化ということもあって、割と静的な作りでした。今回は飛行機を使った犯行計画と言うこともあり映像によるダイナミックな展開。とても映像がとてもスタイリッシュですよね。僅か3年しかたっていない割には、ずいぶんな変わりように思えるのですが。前回はちょっと違和感のあったコロンボ警部も、見慣れた姿に。

女性が犯人の回は、個人的には微妙な感想になりがちです。警部は基本的に女性に対しては優しい。だから、これに限らず対決シーンがソフトに感じるし、ラストもビシッとした追求にはなり辛いです。あっと驚く逆転劇ってのは無いですものね。今回のコロンボのレスリー(リー・グラント)に対する罠も、初見では鮮やかとは思えずどうもすっきりしなかったものです。

しかし、久しぶりにじっくりとみてみるとまた違う印象も。何よりリー・グラント演ずる犯人のレスリーがとても魅力的。結構性悪な性格。それを感じつつもどこか引かれてしまう、かわいいと思ってしまうのは歳を取ったせいでしょうか。やはり犯人に魅力を感じないと面白さも半減です。余談ですが、新コロンボが面白く感じない点のひとつに犯人に魅力を感じないことがありますね。

そしてコロンボが「普通ならこんなやり方はしない」と言っているように、レスリーの性格が罠の伏線になっているあたり、やはり侮れないですね。金で肉親を殺された恨みも忘れると思ってしまった彼女。確かにレスリーが番号を控えてあり証拠となり得るお金をあんな風に使っちゃうのは、ちょっと杜撰な感じがしていたのですが、それを読んでのコロンボの罠と言うわけですね。しかも、その前にコロンボが担当を外されたと言う話も一役買っているんでしょう。手強い相手だと認識していた相手がいなくなった開放感。あとは邪魔なのはマーガレットだけだと。もう気にすることは無いから金で追っ払ってしまえ、と。

大金を目の前にして3ドルの勘定を払えないラストシーンは、それまで対決の緊張を解きホッと一息つかせてくれる余韻のあるエンディング。

素人にいきなり操縦桿を任せてしまうってのは度胸があると言いますか、さすが人を殺めるだけのことはある、と変に納得。

それにしても、コロンボというかピーター・フォークのビリヤードの腕前は相当なものなんでしょうね。いとも簡単にポケットして、最後にはスクラッチすると言うオチ。あれも狙ってやったことなんでしょうか?

Tags: TV Columbo

2005-04-09(Sat) [長年日記] 編集

_ ホッグ連続殺人/ウィリアム・L・デアンドリア

舞台は雪に閉ざされたニューヨーク州スパータ。車の事故による死亡事件が起ります。不幸なアクシデントによる事件だと思われていましたが、"HOG"と言う署名で自らの手による犯行だと告げる声明文が届き状況が一変します。そして事故や自殺事件が起こるたびに届けられる”HOG"の犯行を仄めかす手紙。人々は姿無き殺人鬼"HOG"に恐怖します。

警察の捜査もお手上げになったところで登場するのが著名な犯罪研究家であるニッコロウ・ベネデッティ教授。彼の教え子でもありアシスタントでもある私立探偵ロン・ジェントリイとともに調査に赴きます。このベネデッティ教授はかなり曲者なキャラクターです。容姿端麗なわけではないのに何故か女性にもてる。そして、なんと言っても吝嗇家、と言うよりドケチなのです。どんな時でも彼は一銭も代金を支払うことは無いのです。支払いはいつもジェントリイの役目に。しかし、ケチと言うよりお金を払うと言った習慣を最初から持ち合わせていないと言った雰囲気の教授に、嫌味なところはみられず却って微笑ましく感じてしまうのです。

名探偵が乗り出しても、事件の糸口はなかなか見つけられません。そればかりか、繰り返される犯行。被害者には共通する点が見当たらず、"HOG"の動機が全くもって不明。何故事故や自殺に見せかけるのか。さしもの教授も悪戦苦闘。埒があかない警察に集まるマスコミの非難に、ベネディッティは宣言します。「一週間以内に"HOG"を捕まえる」と。

さり気なく巻かれた手掛かりと伏線をたぐり寄せて想いもよらぬ真相を描き出す、これぞまさにミステリの醍醐味。「なるほどそうだったのか!」と叫ばずにいらません。しかも、そこで描き出されるある人物の苦悩と心情を思うと、ちょっとしんみりとさせられます。その人はそのために死ぬことになり、そしてそれが事件解決の糸口になったのです。

実を言えばそこまでならよく出来たミステリといったところなのですが、このミステリの面白さはなんと言ってもラストの一行にあると思います。大袈裟ではなく、ラスト一行で明かされる思わず喝采を送りたくなる見事なオチに大満足。著者の遊び心にやられました。とんでもない仕掛けが最後に炸裂、と言ったところでしょうか。未読の方の興味を削がないように説明するのはとても難しいのですが、最初から著者はとてもオープンだったとラストで気づかされるのです。是非お薦めしたい一冊です。

ホッグ連続殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)(ウィリアム・L. デアンドリア/William L. DeAndrea/真崎 義博)

Tags: Mystery

2005-04-13(Wed) [長年日記] 編集

_ れんげ野原のまんなかで/森谷明子

いわゆる日常の謎系。気にしなければ、通り過ぎ忘れ去られてしまうような些細な出来事。その裏側隠れている人の営み。目に見えている以上に、世界はドラマに溢れているのです。

全体的にとてもソフトで、だからこそ刺激も少なめで物足りなくもあり。意外な真相とまではいかなくて、割と想定した範囲内に着地してるかな。純粋に「ミステリ」を期待するとちょっと当てが外れるかも。私にはどれも「いいお話」過ぎるのです。

図書館ってところも、実際はどうだか知らんがこれを読む限り、本屋とご同業ってとこがあるんだなぁ。

れんげ野原のまんなかで (ミステリ・フロンティア) れんげ野原のまんなかで (ミステリ・フロンティア)
森谷 明子
東京創元社
¥ 1,575

Tags: Mystery

_ ADSLの速度が急に低下しました

仕事場のネットはADSLなんだけれど、先日から急に速度が低下した模様。表示がえらくもたつく。取りあえず、スピード測定系ののサイトで計測してみた。確か、ADSLを導入して最初に測定した時には900kbpsぐらいだったはず(フレッツの24Mのタイプ)。

24kbps……。

いや、目を疑いましたよ。いったい何故。判らないことがあればグーグル様にお伺いをたてるのがネット時代のお決まり。お教えいただいたサイトをあれこれ見て行くと、こちらを発見!

何でも掲示板FAQ1[Netland]

モデムの電源を一度落としてみるだけと言う、お手軽解決法。ものは試しとやってみたら、無事復帰。ADSLモデムはフォールバックと言って、回線の状態によって速度を調整しているらしい。で、何かの拍子に回線状態が悪くなり速度が低下したら、例え元に戻っても自動で回復しないとのこと。モデムなんて電源をいれっぱなしだけれども、たまにはオフにしてクリアしてあげた方がいいみたい。

それとは別にモデムの設置にも気を使った方がいいようだ。ADSLはノイズに弱い。よって発生源からなるべく遠ざけること。パソコン本体しかり、ディスプレイしかり。たこ足配線のコンセントなんかも問題あり。こういったものの近くに置かない。モデムをつなぐ配線もなるべく短く。こうしたことによって、回線速度も上がるかも。もっとも、いろいろ環境に制約があって難しい面もあるんだけどね、仕事場では。

自分で対処できる範囲外にノイズ源が発生しちゃったりしたらどうしようもない部分もあって、それを思うとADSLは不安定なんだよなぁ。

Tags: Net

2005-04-14(Thu) [長年日記] 編集

_ 香椎由宇の写真集を買っちまった

「ローレライ」のパウラ役。スクリーンの中で控えめながら物語の中心にあって、何者にも代え難いオーラを発していた彼女。まぁ、演技云々ってことではとりあえず置いといて、その存在感はずば抜けてましたよ。うん、彼女のためなら命をかけて守りたいと思わせましたぜ。

そんな彼女の写真集。いい歳して今更写真集なんて気もするけど、買っちまいましたよ。いや、それだけ彼女にはインパクトがあるってことで。眼差しが凛々しいのがいいよね。その瞳にやられてしまったのだ。そんな彼女の瞳にクラクラする一冊。いあぁ、勢で買っては見たものの、なんだか気恥ずかしくもあるなぁ。それはともかく、素敵な女優さんになってくださいな。

しかし、映画でのあの露出度の高い衣装は制作側の好みってことだろうか。いや、いいんですけどね。

you—香椎由宇写真集 you—香椎由宇写真集
大橋 仁
リトル・モア
¥ 2,940

Tags: Book

2005-04-18(Mon) [長年日記] 編集

_ だれもがポオを愛していた/平石貴樹

元々は集英社から1985年に刊行されたもの。文庫本の有栖川有栖氏の解説に「新本格前夜」とあるように、時代の狭間に登場した作品。また、著者の平石貴樹氏も寡作なので知名度もそれほどではないのでしょうか。

しかし、最初に言っておきたいのは本格ミステリを愛する人で、未読でしたら是非読んで頂きたいということ。絶対読んで損はないと思います。この傑作を知らないのは勿体ない、とまで言ってしまいましょう。蛇足ながら、読んでいて一番近い感覚は横溝正史の世界、でしょうか。それもアメリカンな横溝正史といったところ。おどろおどろしさはあまり感じられず明るいのです。陰惨な殺人事件が、明るい雰囲気なのは著者のユーモアの故でしょう。警官のコンビがロンとヤースだなんて!といっても今では何のことだか判らないかな?

エドガー・アラン・ポオの終焉の地であるボルティモア郊外で、日系人アシヤ兄弟が住む屋敷が何者かに爆破されるところから物語は始ります。そして、事前には犯行を予告する電話が。

「諸君はアッシャー家の崩壊を見いだすだろう」

『アッシャー家の崩壊』とはポオの小説。まさに小説のクライマックスのように崩壊した屋敷とともに死んだアシヤ兄弟。事件はそれだけにとどまらず、『ベニレス』『黒猫』をモティーフとしたと思われる死体が発見され連続殺人の様を呈していきます。他のもポオの小説が重要な意味を持ち、全編ポオを巡るお話といってもいいぐらいです。

この事件に立ち向かうのは、たまたま日本から当地に遊びに訪れていた更科丹希ことニッキ。担当刑事のナゲットの知り合いと言うことで捜査に協力します。こういった設定で、時に雰囲気をぶち壊しにするキャラクターに遭うことがありますが、控えめながら存在感のある彼女は実にチャーミングな女の子です。部外者の彼女を警察がいきなり何事も無く受け入れてしまうのも、その魅力によるところでしょう。もっとも、その辺はちょっと出来過ぎな気もしますが。

ミステリとしての面白さは、最後にニッキによって明かされる真相の、そしてロジックの美しさ。彼女は、複雑に絡み合った謎に実に合理的な解答を示してくれます。ほんの少し見方を変えただけで今まで見えていたものがひっくり返される快感。

何故犯人はわざわざ面倒な見立て殺人などをしなければならなかったのか。中でも、屋敷を爆破した犯人の意図には唸らされました。首尾一貫して少しも隙の無いそのロジックは実に素晴らしい。ただただ納得するばかりです。

事前にポオの作品を読んでいなければ駄目なわけではないですが、読んでいた方がさらに楽しめるのも確か。特に『アッシャー家の崩壊』は、事件の解決に大いに役立ちます。そして、エピローグの「『アッシャー家の崩壊』を犯罪小説として読む—更級ニッキのために」と言う短文を愉しむためにも。

私も『黒猫』しか読んでいないですね。『モルグ街の殺人』は、あまりにも有名すぎて、読まずにいてもほぼ内容を知っている始末。なので、なかなか読むきっかけが無いですしね。

だれもがポオを愛していた (創元推理文庫) だれもがポオを愛していた (創元推理文庫)
平石 貴樹
東京創元社
¥ 693


2005-04-26(Tue) [長年日記] 編集

_ 砂楼に登りし者たち/獅子宮敏彦

牛の背に乗り諸国を旅する、天下一の名医の呼び声も高い残夢を探偵役とした戦国時代の不可能犯罪ミステリ。読む前には「戦国伝奇風小説とミステリ?」と思っていたんですけどね。例えば、密室から犯人が忽然と消えてしまうなんて設定。現代なら、興味ある謎なわけです。人が消えるわけはあり得ないですから、そこには何かしらの「科学的」な根拠がある。しかし、戦国時代の人々にはどう映るのか?

実際がどうかはともかく、読み手としてはそんことを彼等は気にしないんじゃないか、と思ってしまうわけですよ。妖術、忍術、果ては悪霊のせいだ、で済んでしまえる世界でもあるわけですからね。著者もあとがきでその辺りの不安については述べています(ネタバレがあるので先に読まないように)。

で、読んだ感想としては結構うまくいっているんじゃないでしょうか。特に第一話の「諏訪堕天使宮」での動機については、この設定だからこそで唸らされました。全四話中これがもっとも出来がいいですね。また、他の話のトリックもあり得ない笑ってしまうもの。しかしながら、それが却ってこの時代ならあり得そうで、と強引に納得させられました。

ただ、第三話の「大和幻争伝」は中途半端かも。普通に忍者伝奇物で良かったのでは。変に最後に謎解きは、下手な手品の種明かしといった雰囲気が少々。それから、それっぽい雰囲気を出そうとしている文体が熟れてないせいか、付け焼き刃気味で読み辛い。

そうは言っても、まじめなミステリと言うより「バカミス」のノリで、結構楽しめました。牛の背に乗る探偵は「ふぉっ!、ふぉっ!、ふぉっ!」と高らかに笑い、それに合わせて牛も「モウ」と啼く世界ですから。「細かいことは抜きにして、おおらかな気持ちで笑って読むのが正解でしょうか。

以下は余談として。戦国時代についてのイメージ。私の史観は司馬遼太郎の小説によって作られているといっても過言ではないです。なので、それと違った解釈はどうにも座り心地が悪い。最後の「織田瀆神譜」のエピローグの、武将たちの行動はどうにも頂けないなぁ。

砂楼に登りし者たち (ミステリ・フロンティア) 砂楼に登りし者たち (ミステリ・フロンティア)
獅子宮 敏彦
東京創元社
¥ 1,575

Tags: Mystery

2005-04-29(Fri) [長年日記] 編集

_ ドキュメント新潟県中越地震 10.27奇跡の救出

2004年10月23日に発生した新潟県中越地震。その地震による地滑りで3人の親子が車ごと巻き込まれ、四日後に男の子が救出されたのは—その活動がリアルタイムで中継されていたので—強烈な印象とともに残っています。

レスキュー隊、土木災害の専門家、自衛隊の医官といった救助活動に携わった方々のドキュメント。あの現場では何が起っていたのかがよく判ります。彼等が何を想いどう行動したのか。プロフェッショナルたちの知られざる活動の裏側。読むにつれ静かな感動で、思わず目頭が熱くなります。

こういった場面で思うのは、「何故さっさと助け出さないのか」と言うことではないでしょうか。災害現場で気をつけなければならないことは二次災害です。要救助者は絶対に助け出す、と言うのがレスキューに携わる人たちの強い意志です。そのために、まずしなければならないのは安全の確保。レスキュー隊員が危険に晒されるようでは、救助などあり得ないのです。

救助方法にしても同じことが言えます。穴を掘るにも、掘った土や石は絶対に穴の中へ落とせない。その下には要救助者がいるかもしれないのですから。足場が悪く充分なスペースも取れない現場での作業。重機などは使えずに、すべては手作業です。そして、慎重に確実に安全に。

見ている側としては、もたもたしているように映りますが現場では決してそんなことがないのです。何より一番歯がゆい思いをしているのは、現場に立つ人たちでしょう。彼等は言います。「絶対にあきらめない」と。そんな彼等の活動を我々は静かに見守ることにしましょう。

奇しくも今月25日に起きた兵庫県での100名を越す死者を出してしまった列車脱線事故。ここでも救助の様子がテレビで映し出されています。事故の痛ましさはもちろんのことですが、救出作業に携わる人たちの活動に改めて胸が熱くなりました。そして、何かあった場合は必ず彼等が助け出してくれるんだと言うしっかりした認識も。

ドキュメント新潟県中越地震—10・27奇跡の救出 ドキュメント新潟県中越地震—10・27奇跡の救出
Jレスキュー編集部
イカロス出版
¥ 1,600

Tags: Book

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