酔眼漂流記


2010-01-12[火] 米澤穂信 [長年日記]

[読書][米澤穂信]追想五断章

古色蒼然、と言うのがまず思ったこと。米澤穂信は初めて読むのだが、もっとポップなものを想像していた。全体を覆う諦念の感。古めかしいというと語弊があるが、昭和の文学といった趣だ。実際時代背景は昭和の時代だろう。

古書店でアルバイトをする菅生芳光は、北里可南子から父親が生前に書いた五つの短編を探して欲しいと依頼される。亡き父の残した五つの断章。それぞれが結末のないリドルストーリー。そして、22年前に可南子の父がかかわった未解決の事件。五つの断章が揃う時、そこに秘められた妻と娘への想いとは。

リドルストーリーと言うのは、結末が著者によってわざと伏せられた小説。本作の鍵となる五つのリドルストーリーだが、それだけでもちょっと幻想的で味わい深い出来だ。そしてその使い方が憎い。リドルストーリーであることを効果的に使って、最後に仕掛けを見せてくれる。一粒で二度おいしい。そんな感じ。

そもそも、これ自体もリドルストーリーといえないか。

追想五断章
米澤 穂信
集英社
¥ 1,365

冷たい雨

一日冷たい雨の降る休日。東京では初雪だとか。