酔眼漂流記


2011-05-20[金] キャロル・オコンネル [長年日記]

[読書][キャロル・オコンネル]クリスマスに少女は還る

ラストの意外さに足元をすくわれた。

クリスマス近くに二人の少女が行方不明になる。その捜査に加わるのが15年前の同じ時期、双子の妹を誘拐されて殺されるという過去を持つるルージュ・ケンダル。彼は、そして母親も今も心に傷を負ったままだ。その時の犯人は捕まっているが、本当に真犯人なのか。捜査の協力者として現れる法心理学者のアリ・クレイ。頬に傷跡のある彼女は、ルージュの15年前の事件に関してなにか秘密があるようなのだが…。

一方で、誘拐された二人の少女、サディーとグウェン。対照的なふたり。ホラーマニアのサディーは、人を怖がらせ驚かすのが好きな問題児。一方のグウェンは臆病で可憐な少女。二人は力を合わせて監禁場所からの逃走を図る。この物語の真の主役はこのふたりだ。強く結ばれた二人の少女。健気な友情が胸を打つ。また、ふたりが監禁されている、思いがけない幻想的な場所がファンタジーと言ってもいいような雰囲気を醸し出している。

ルージュ側の物語と二人の少女の冒険譚が交互に描かれ、タイムリミットのクリスマスを迎え交差する。犯人は誰なのか、ふたりは助かるのか。しかし。このラストには本当に驚かされた。どんでん返し。えー、そういう話だったの!

まぁ、人によっては文句を言いたくなるかも。余計なラストか感動のラストか。でも、オレにはじわじわと胸に来るものがあった。そう、これはクリスマスの奇跡の話なのである。だから『クリスマスに少女は還る』のだ。

途中サディーの母親が彼女について語る言葉が、この物語の全てだ。

「わたしが保証します。みなさんはあの子を愛さずにいられなくなるわ」


クリスマスに少女は還る (キャロル・オコンネル/創元推理文庫)