酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2004-10-13[水] 横溝正史 編集

▶︎ [読書][横溝正史]女王蜂

先日映画を見て、読み返す。改めて読むと判ることもいろいろとある。原作を読んでみると映画の脚本は、いろいろと改変はしてあるが、うまく雰囲気はつかんでいて健闘している。

それはともかく。舞台が閉ざされた世界(島であるとか古い因習にとらわれた村とか)じゃないと、どうも横溝作品は地味、というか多少色褪せてるように思える。

この作品もどうも風通りがいいのが気になる。淀んだ空気の方が効果的で刺激的で好みだったりする。それが横溝作品の面白さのひとつになってると思うし。どうにもこれは、あっさりしちゃっている。

密室殺人を扱ってはいるけど、腰砕け的な真相ではあるな。もっとも著者もあまり密室を強調しているようでも無いから、あくまでも舞台装置のひとつと見るべきか。その他にもミステリ的な小道具はあれどもサラッと流してしまっている感じ。

ラストはあんな結末になったから解決したと言えるしなぁ。結局19年前の真相は、犯人は誰でも可能性があり得るってだけだから、あの人も何もあんな思い切ったことをしなくてもよくありません?

決定的な証拠に欠けるので、謎解きのスッキリ爽快感を味わう作品じゃあ無いかな。

だからと言ってつまらないかといえばさに非ず。横溝正史の面白さは何よりもそのストーリーテリングの巧みさにあると思うのだけれども、この作品もご多分に漏れず。結末が判っていたって読み始めたらグイグイと引き込まれた。

時代がかった文体は、読んでいてちょっとくすぐったいんだけど。

女王蜂 (角川文庫)
横溝 正史
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 740

▶︎ [Movie][横溝正史]映画「八つ墓村」

市川崑監督のトヨエツ金田一版の方。ちらっと見ていたけど、途中でやめた。前に一度見ているってこともあるんだけど。やはり見るに耐えない。

公開当時は市川版横溝映画の復活ということで結構期待したもんだ。スチールで見る限りトヨエツ金田一もいい雰囲気だったし。しかし…。

まずなんと言っても画面に迫力が無いよ。市川版全5作にはあった重厚な雰囲気が皆無。こじんまりとしちゃってるよね。テレビドラマ並みといったら失礼かな。セットでの撮影が多いせいかしらん。

そして個人的に最大の減点は豊川悦司演じる金田一耕助にあり。あまりに軽薄な立ち振る舞いは悪いけど、映画をぶち壊しにしていると思うよ。見ていて石坂金田一の醜悪なパロディにしか見えない。本人はどう思っているのか知らないけれど、演じる上でベースとなっているのは石坂金田一のような気がする。でも、ちっとも様になっていないと言いましょうか。なんだか媚び過ぎてるよね。もっと飄々としてくれてたらなぁ。雰囲気は悪くないのに。

ちなみにいえば、野村芳太郎監督の「八つ墓村」(渥美清が金田一役のね)の方が面白いかな。こっちも個人的にはいまいちだと思っているんだけど、それでも圧倒的なおどろおどろしい迫力は認めるところ。特に山崎努の村人殺戮シーンだけでも見る価値ありと思っております。ありゃ怖いよな。今でも夢に見そうなぐらい。

八つ墓村 [DVD]

松竹ホームビデオ
¥ 3,900


2007-10-13[土] 編集

▶︎ [読書][石持浅海]Rのつく月には気をつけよう/石持浅海

Rのつく月には気をつけよう(石持 浅海) なかなかお洒落な一冊。装丁もきれいだし。そして無性に酒が飲みたくなる一冊でもあるのだ。大学時代からの飲み仲間のパーティーが毎回の舞台。そこで出される酒と肴の組み合わせが絶妙で、たまらない。生ガキにスコットランド・アイラ島のシングルモルト註1、日本酒にギンナン、泡盛に豚の角煮となんとも渋い組み合わせ。ビールにチキンラーメンという意表をつく組み合わせもあるけど、何れにせよ著者は酒好きなんだろうなぁ。

そんなパーティーに毎回誰かが連れてくるゲストが謎の主役。彼らの話す何気ない恋愛の悩みが、鮮やかに解決されるってのが趣向。ネタが恋愛話ということでちょっと身構えたんだけど、ベタベタしたものじゃなくてこれがなかなか微笑ましい。人って愛しいよなぁ、と思える。

ここで語られる推理は絶対の真実、というよりも一つの解釈といった程度のものなんだけど、その肩の力の抜け具合がかえって心地いい。十分に納得できる。美味しくお酒をいただきました、という読後感。

最後には酔いを覚まされましたけどね。あれは卑怯だ註2

Rのつく月には気をつけよう(石持浅海/祥伝社)

註1 このウィスキーは磯の香りがするそうで、生ガキにこれをたらして食えば絶品だと椎名誠も力説していた

註2 もちろんいい意味で


2008-10-13[月] 編集

▶︎ 新加入

来月からうちの店に配属となるM君が来店。部屋探しのためらしい。