酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2005-01-14[金] 天藤真 [長年日記]

▶︎ [読書]遠きに目ありて

脳性マヒの少年を安楽椅子探偵とした短編集。著者の天藤真は1915年生まれ。そして亡くなったのは1983年。言い方は悪いけれど過去の人だ。ネームバリューという点からすると恵まれてはいないのかな。誰でも知っていると言う人ではないよね。

もっとも1991年に『大誘拐』と言う映画の原作者として知る機会があったけれども。私もそのひとり。映画自体結構いい評判を聞いていて、頭の片隅にその名前が残っていた。ようやく読むことになったわけです。もっともこの本を買ったのは2・3年前で、ずっと埃をかぶったままだったんだけれど。持っているものとは装丁が変わっているね。今のはちょっと派手過ぎやしないでしょうか。

多すぎる証人

大勢の目の前で起きた団地の殺人事件。逃げる犯人の姿を8人が目撃していたけれど、この証言がてんでバラバラ。この矛盾した「多すぎる証言」から浮かび上がる真実。バラバラの証言から共通点を導きだし、犯人を特定する手腕は見事。

宙を飛ぶ死

東京にいた被害者が一瞬のうちに200km彼方の湖で死体となって発見される怪。まさに宙を飛んだようにしか思えない事件。

出口のない街

街のひと区画を密室に見立ててしまう面白さ。数々の証言によって犯人らしき人物はその街の中に入っているはずが無いのに起る殺人。犯人はいかにして人の目を逃れ出入りしたか。

見えない白い手

ウーム、これはちょっとどうかな。

完全な不在

もちろん謎解きとしてはちろんだけれど、犯人の大胆で周到な犯罪計画が面白い。読み終えて天晴犯人と思ってしまうのだった。

総括

いずれも、端整で小粋なミステリの好短編。派手さは無いけれど、それぞれのトリックやアイデアは唸らされるものばかり。時代からくる古くささを感じてしまうのは仕方ないとしても、どれも実に味わいがあるのだ。ミステリは、やはりこのぐらいの短編の方が面白いのかもしれないね。純粋に謎だけでテンションを保っていられる。確実に次も読みたくなる面白さ。

実は一番驚いたのが、初版は大和書房から出ていたと言うこと。こういったのも出していてんだねぇ。

遠きに目ありて (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
天藤 真
東京創元社
¥ 756

▶︎ [Movie]『ローレライ』間もなく公開

間もなく映画『ローレライ』が公開。『終戦のローレライ』の映画化。今のところ期待大の映画。もっとも原作とは別物と見た方がいいようだけれども。

CMを見た。ちょっと不安になった。なんだか画面から受ける印象がクリアすぎるような。陰鬱な雰囲気をどうしても想像してしまうから。見た範囲で言えば、明るすぎるというか、かっこ良すぎると言うか。

たとえば絹見艦長役の役所広司。最初に配役を聞いた時にはいい線いっていると思ったけれど、実際に見てみるとちょっとダンディ過ぎてどうかなぁ、とも。彼だけではなく乗務員皆さんに言える。もうちょっと武人って感じの人がいいと思ったりするんだけれども。あの頃の日本人の写真を見ると物足りなさを感じる。もちろんどちらがいいとか言うことではなくて。あの頃とまったく別の顔になったよね。ただし、例えば外国人に関して言えばそんなことを感じはしない。それは「日本人」の目で見るからそう思うだけなんだろうか。

米駆逐艦がアスロックを発射するシーン(多分)がある。その出来映えの素晴らしさに唸りつつも、どうもいかにもCGって感じがするようなのが気になったりはする。艦艇は全てCGで処理しているのかな? 無理とは承知しつつも、実物を使った映像が見たいよなぁ。今時の映像技術は凄いとは思うけれど、やはり実物の迫力にはまだ及ばないと思うんだよなぁ。何でも映像の上で出来てしまうのは、その反面妙に嘘っぽさを引きずってしまう部分があるように思えてしまう。

ま、短いCMを見ただけで思ったこと。いずれにせよこのCMを見て鳥肌が立ったのも事実。増々期待が膨らんだのも間違いないのだ。あとは期待を裏切らないことを祈るばかりなり。