酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2005-09-27[火] IDEON [長年日記]

▶︎ [Movie]伝説巨神イデオン

放映当初は富野由悠季監督の『ガンダム』の次ということで、こちらもそれなりに期待し力も入って観ていました。しかし、そのギスギスした人間関係に閉口した部分も少なからずあったものです。敵の前にまず味方と争っているようなものでしたから。トーンもひたすら暗かったですし、どんどん救いが無く重くなってゆくストーリー。正直、あの頃は毎週面白いと思って観ていたのか疑問です。毎週欠かさず観ていましたけれど。

今、改めて観るとすごいなと思います。これは傑作かと問われれば、激しく頷くしかない。相変わらず見ていて辛くなる部分もありますが、なんだかひたすら感動してしまいました。

人の背負う業をこれでもかとばかりに容赦なく見せられると、なんだか泣けてくる。誰も憎むことは出来ないし、哀れだとも思えないのです。そればかりか、身勝手である事が愛おしいとさえ思う。形は違えどもあれは自分が持っているエゴでもある、からかな。登場人物たちと自分自身の重なる部分がチクリと心に刺さる。生きていくのは哀しいことなのです。

歳をとり生きていくのは理想だけじゃないってことを、身に沁みて感じるようになったからでしょうか。生きていく事は「仕様がない」ことです。夢を見ることが出来る残り時間はどんどんと少なくなり、否が応でも現実を見つめなければならない。生きるために自ら運命を拓こうと、もがき苦しむ彼等は哀しくも美しく映るのです。

この中で一番心に残るのがギジェ・ザラル。戦えば負け、終いには味方から見捨てられ、最後には同胞と戦う事に。イデに翻弄され続けた人。映画では『発動篇』のオープニングでチラッと出るだけであっという間に死んでしまうのが残念。もう少し華を持たせてあげても……。そしてシェリル。地球人側で一番イデに踊らされたのはこの人でしょう。この二人が引かれ合うのは当然か。

シェリルって女性陣の中では一番「かわいい」人だと再認識。身の丈以上に頑張る姿に手を差し伸べたくなる。次がハルルか。いや、最初観たときには絶対こんなことは思ってなかったはずだ。おお、これも大人の味なのか。

その他の登場人物にしても、その存在の分厚さに驚かされます。全員が主役といってもいい程。名のあるキャラクターは誰もが印象深い。その分明確な主人公がいないため、不安定に感じることもあるけれど、それはそれで見事な群像劇。

それいしても。「イデオン」がある意味雰囲気を壊している、と思うのですけれど。人型合体変形メカってのは、大人の事情によるものなのでしょうけど、もっと相応しいデザインだったらと思う。バッフ・クラン側のメカはどれも魅力的なだけに。

伝説巨神イデオン 接触篇/発動篇 [DVD]
矢立肇/富野由悠季
タキコーポレーション
¥ 10,080