酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2005-10-06[木] [長年日記]

▶︎ [Movie]映画「悪霊島」

自分にとっての横溝映像作品の一番は、市川崑監督のもの(特に『悪魔の手毬唄』)なのだ。それと比べちゃうと、正直がっかりな感じは否めない。どうも画面の雰囲気があっさりし過ぎているような。それは夜の描写が少ない(ように思えた)からか。時代設定がより「現代」ってこともあるのかも。

原作では重要なパートだったはずの磯川警部の部分がバッサリと切り落とされている。まぁ、全てを詰め込む事は出来ない以上仕方のない事なんだけど、この映画の磯川警部の影が薄い事。磯川警部である必要が無くなっちゃってる。それによって三津木五郎もなんだか中途半端な役どころに。

刑部巴の、あの設定も微妙なところ。まぁ、ああいう解釈もあるよねってことではあるが。イメージ的に判りやすくするためなのか?

いま改めて観ると岸本加世子のキャスティングってのものどうなの?と思ってしまったり。いや別に彼女がどうのこうのじゃなく。いってみればアイドル扱いだったわけだ。それはともかく真帆・片帆のイメージとは違うような気がするんだけどなぁ。

根岸季衣のミニスカート姿ってのも、物凄いものがあるけど。

それと、佐分利信。個人的にはどうしても市川版(獄門島)のオーラが発散されちゃうので、この映画にとってはマイナス点になっているのだ。どうも、こちらの勘ぐり過ぎなのかもしれないが、市川版をかなり意識しているのではないかと。根岸季衣の役なんかも、アレって坂口良子のイメージだよね。そんなところから二番煎じというか亜流って思わせてしまう。

その中で、岩下志麻は良かった。彼女の存在感で、なんだか全て納得させられてしまった。狂気な感じがゾクリとさせられる。

マイナスといえば主題歌に使われた『Let it be』。オリジナルではもちろんビートルズが使われているけど、現在見ることが出来るものでは著作権の問題から、他の歌手のバージョンに変えられている。それはそれで悪くもないが、やはりビートルズのイメージの方が強烈なので減点対象。というか、アレ注意して聴かないと『Let it be』とは判らんかったぞ。

そして最後に、鹿賀丈史の金田一耕助でもって自分の中ではかなり救われている。この映画の見所は実に彼にあるといってもいいのだ。キャラクターとしては当然石坂金田一がナンバーワンだけど、鹿賀金田一も悪くない。どころか、飄々とした雰囲気は原作のイメージにかなり近いのではないかと。これ一本だけだったのが悔やまれる。

悪霊島 [DVD]
横溝正史/清水邦夫
ポニーキャニオン
¥ 19,700