酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2006-10-05[木] [長年日記]

▶︎ [読書]三年坂 火の夢/早瀬乱

明治32年。帝大に進んでいた兄の突然の帰郷。怪我を負っていた兄は「三年坂で転んでね」という謎の言葉を遺して死んだ。兄の死の真相と「三年坂」に興味を持った弟の実之は、受験のため東京に出たのを幸いに調査を始める。やがて、それは幼い頃に失踪した父の手掛かりへと繋がる。「三年坂」にまつわる隠された謎とは何か。

これがまた、読んでる途中が実に退屈なのですよ。基本的にお話の流れは、ひたすら三年坂をもとめて東京を西へ東へ。 地理が好きな人なら、江戸東京散歩といった風情で楽しめるのかも知れない。けれど、手元に地図でもないと溢れる地名に何処がどこやらチンプンカンプン、てな具合になりかねない。

巻末に地図が載っているんだけど、これネタバレって訳でもないんだから最初に載せておいて欲しかった。

サイドストーリーとして、江戸東京で起きた大火の謎を探るパートが挟まれている。これらは何者かが仕組んだものではないのか?

二つのストーリーがやがてシンクロしていくんだろうと想いつつ……。

お話に引きつけられる要素が弱い弱い。一番の謎は三年坂に関することなんだろうけど、坂の発見が新たな謎に繋がるなんて展開でもないし、少しずつ謎のピースが埋まっていく胸の高まりもない。いっこうに話が進んでいかないのだ。んで、突如として物語は動き、あっという間にクライマックス。

伏線にちゃんと結末をつけてはいるんだけど、どうにも座りが悪い。纏まりがよくない。そりゃ強引じゃないの。結局どれがメインの謎だったのやら……。

三年坂 火の夢
早瀬 乱
講談社
¥ 1,680