酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2006-11-07[火] [長年日記]

▶︎ [読書][島田荘司]摩天楼の怪人/島田荘司

あらすじ

摩天楼の怪人 (創元クライム・クラブ)(島田 荘司)

ニューヨーク、マンハッタン。セントラルパーク・タワーの34階。死期を悟った往年の大女優ジョディ・サリナスは50年前に犯した罪を告げる。マンハッタンを台風が襲い停電した夜、1階で悪辣な興行家であるジーグフリードを射殺したと言う。彼女のアリバイのない時間は僅か15分。停電でエレベーターは使えない状況では、短時間で自宅と現場を往復するのは不可能だった。ジョディはこの謎が解けるかとミタライに問う。

感想

メインの謎の他にも不可解な事件のてんこもり。セントラルパーク・タワー自体が壮大な謎を秘めた、主役ともいえる。分量も内容もボリューム満点の一冊。しっかり腰を据えないと消化不良を起こしそう。そのかわり歯ごたえも満腹感も充分。相変わらず力技で納得させられちゃった感があるけど、それが嫌みに感じないのはこの人ならではか。

だって、34階から1階の往復をどうやったかなんて、ずっこけましたぜ。これがトリックになるかならないかの際どさ。そう書くといかにもつまらないトリックみたいだけど、そんなことはない。事実驚きましたもん。やっぱりね、謎の演出が見事だから騙されちゃうし吃驚しちゃうし納得しちゃうんだな。結局なんだかんだ言っても好きってことなんだ、島田荘司が。

まぁ、それでも純粋にミステリというよりは冒険物語といった方がいいかも。壮大なホラ話を楽しむって姿勢。

途中にCGで作成されたセントラルパーク・タワーの挿絵がある。これが曲者だ。最後にビックリしたければ、間違ってもパラパラめくっちゃいけない。最初から読むべし。最後の方で色が変わってるページがあるんで、なんだろうと思ってめくってみようとしたんだよね。しなくてよかった。

余談。これと『帝都衛星軌道』を読むと著者のの興味のありどころが朧げながらに判ってくる、ような気がする。ちっぽけでも人類には歴史があるってことも思い至る。過去の上に現在が成り立っていると言うこと。

摩天楼の怪人 (創元クライム・クラブ)
島田 荘司
東京創元社
¥ 3,000