酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2007-03-31[土] [長年日記]

▶︎ [読書] 福家警部補の挨拶/大倉祟裕

福家警部補の挨拶

「刑事コロンボ」の本歌取り。倒叙ミステリ。著者は大のコロンボファン。そして、コロンボ研究の第一人者である町田暁雄の手も加わっている。そんなわけで、頭の先から尻尾までコロンボテイスト満載の一冊。

コロンボ大好きなオレとしては全編ニヤリとしたくなる出来。コロンボにたいする憧憬にあふれてるよな。

その分あまりにもガチガチなので、いくぶん面白みに欠けるという気もする。元が完璧なので、変えようがないってことか。あと忘れちゃならないのが「古畑任三郎」の存在。福家警部補が女性なのはその辺にあるんじゃないかと邪推してみる。

あと、重箱の隅を楊枝でほじくるようなことだけど、「オッカムの剃刀」と「月の雫」の元ネタはアレとアレね。

両方とも本家の方は誰に聞いても上位に入る作品だろうし、おそらく著者もお気に入りなんだろうね。だから、自分でも、と思ったのかどうか。

とてもよく出来ているけど、元ネタを知っているだけに途中でオチに感づいてしまったのはちょっとマイナス点。まぁ、贅沢な悩みだけど。

その点「最後の一冊」はお見事。最後のツメが実にコロンボ的でいいよなぁ。そして、オリジナル度高し。強いて言えば「迷子の兵隊」のバリエーション?ああ「死者のメッセージ」とか。先が見えない展開から、思わぬ証拠が現れるそのラストにしびれた。

もう一つだけ茶々を入れさせていただければ。ちょっと短いかな。もうちょっと分量があっても。どんどんお話が進んでいちゃって、話に色気がない。遊びがないって言いますか。これまた、出来がいいゆえのわがままな感想ではあるんだけど。

福家警部補の挨拶(大倉崇裕/東京創元社)