酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2009-06-07[日] [長年日記]

▶︎ [読書]完全恋愛/牧薩次

2009年版のこのミス第3位、第9回本格ミステリ大賞受賞作。著者は、別にネタバレじゃないだろうから書くが、辻真先の別名義である。「牧薩次」は辻作品キャラクター名ということである。

本格ミステリ大賞を受賞したことで興味を持って『完全恋愛』を読む。オレは辻作品を今まで読んだことがないので、辻真先の作風・傾向がわからない。「本格ミステリ」だとしたら、ずいぶんと「軟らかい」な。トリックの出来がどうとかは、好みの問題なので註1置いておくとして、第2の殺人事件の際の消えたナイフの扱いがどうにもこうにも。きちんと説明がつかないと納得いかないとう人にはお勧め出来ない。

この物語の主題は「本格」ミステリではなく、タイトル通り「完全恋愛」にある。著者いわく、

他者にその存在さえ知られない罪を完全犯罪と呼ぶ

では他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?

それは単なる片思いと言うんじゃないの?というツッコミはさておき。

画家・本庄究の一代記。ひとりの人間を愛してしまったゆえに起こる悲喜劇。ラストのオチはなかなかアイロニーを感じさせて素晴らしい。途中の殺人事件なんかは前フリなのだ。このラストの、いろいろな意味での、脱力感を味わうべし。悲劇と喜劇、敢えてオレは喜劇と呼びたい。男はバカだね、女は強いね、ってことで。

それしても、これが凡作だなんて言うつもりは全くないけれど、ウームとうなってしまうよなぁ。ウィキペディアによれば、著者は今年で77歳になられる。老いてなお盛ん。「このミス」にしても、本格ミステリ大賞にしてもそんな著者に対して送られてものなのでは、と邪推してしまうのだ。

完全恋愛
牧 薩次
マガジンハウス
¥ 1,890

余談。いくつか文章の前後がおかしく感じるのはオレの考え過ぎだろうか。

註1 オレとしてはバカミスの範疇に入るぞ

▶︎ 晴天

久しぶりに青空を見る気がする。しかし、この天気も今日限りのようだ。残念。