酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2009-07-23[木] [長年日記]

▶︎ [藤原伊織][読書]名残り火/藤原伊織

久しく積読状態だったがようやく読む。『てのひらの闇』の続編である。相変わらず心を熱くさせる小説だ。カッコいいとはどういうことか。藤原作品に登場する主人公、そして脇役も、がその答えだ。

決して彼らは品行方正の清く正しいヒーローではない。どちらかというと欠点のほうが目立つ存在だろう。能ある鷹は爪を隠す、というのとも違うな。そうか、正直者なんだ。それも「バカ」がつく。彼らの行動原理は正義でも損得勘定ではない。自分に嘘をつかないこと。あの真っ直ぐな生き方が眩しいのだろう。オレは「程々」にしかできない。

ある程度ワンパターンとも言えなくないし、出来過ぎだとも思う。それが少しも嫌みにはならない。物語に引き込まれ、登場人物たちに魅かれる。やはり男の美学といっていい。それは自分に欠けたものだからだろうか。

そんな藤原作品の新作はもう読めない。この喪失感は大きい。まだまだカッコいい男たちに会いたかったよ。

名残り火 (てのひらの闇 (2))
藤原 伊織
文藝春秋
¥ 1,700