2010-01-31[日] [長年日記]
▶︎ [Movie]青い鳥
途中から見たが、これは心に残る一作。中学でのいじめをテーマにした映画。主演は阿部寛。いじめ問題に揺れるクラスに臨時の教師としてやってくる。彼の活躍で、問題はすべて解決、なんて映画ではない。むしろ何も解決していないといっていいかもしれない。強いメッセージ性のようなものがない。それがかえって観る側に深く考えさせるのだ。心に訴えてくるというか。結局のところ真摯に生きること、そういうことじゃないのかとオレは受け取った。
阿部寛演じる教師は吃音症ということもあってか、あまり台詞がない。ゆっくり丁寧に語るそのことばが重い。特にお説教じみたことは言わないのだが、朴訥としたその言葉が響く。
印象的だったのが、「みんな間違っている」という台詞。その裏にはみんな正しい、と言う意味があるんじゃないだろうか。でも、自分だけが正しいんじゃないんだよ、と。
もうひとつ。ラスト近くで、若い女性教師に「人に教えるとはどういうことか」と問われるシーンで。「教師は生徒のそばにいてあげることしか出来ない」と言った後につづけた台詞。観ていない人の興味を削ぐのでここには書かないが、この一言にジーンときた。言葉だけだとあきらめのように取れるが、だからわたしは教師をやっているんです、と言う決意に受け取った。
何れにせよ、阿部寛の好演が光る。最初に彼を見た頃は、いずれ消えていっちゃうんだろうなぁ、と思っていたが、申し訳ない。いい役者さんになられました。
この映画がいじめ問題の糸口になるなんてことはないだろうが、人は悲しくて切なくて、愛おしい。そんなことが十分に伝わるいい映画であった。
原作は重松清の『青い鳥』なんだそうな。こっちも読んでみよう。