酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2010-08-11[水] 伊坂幸太郎 [長年日記]

▶︎ [読書][伊坂幸太郎]オー!ファーザー

ふと見上げた空の色がとても濃くて、秋空を感じさせた。着実に季節は動いている。

さて、ようやく『オー!ファーザー』を読み終える。父親が4人もいる由紀夫君の周りで起こる変な事件。さすがに伊坂幸太郎だけあってつまんないわけがない、んだが、じゃぁ面白すぎるかというと微妙。華麗なるテクニックは健在だけど、たとえば『重力ピエロ』などに感じた「アツイもの」が伝わらない。どうもお上手にまとまり過ぎちゃってるか。

と思ったらあとがきに、

当時、このお話を気に入ってはいたものの、書き上げた際に、「何かが足りなかったのではないか」という思いがありました。

とあり、著者自身もそのあたり多少の危惧があったようだ。それがもっと別のタイプの物語を書こうと思わせ、『ゴールデンスランバー』につながる、ということらしい。著者曰くここからが伊坂幸太郎第二期で、『オー!ファーザー』は第一期の最後を飾る作品だ。

そうなると、やはり不満は残るか。第一期の集大成って感じじゃないよなぁ。結末の持って行き方は、伏線の回収が上手い、というよりちょっと強引だ。これって新聞連載ということが影響してるのかどうか。

正直最後の「事件」は余分で、由紀夫と父親4人の微妙な関係を綴るだけでもよかったのでは。それぞれタイプの違う4人で、父親の役割や影響、そもそも父親って何だ、なんてことを考えさせられてそれだけでも十分魅力的ではある。

オー!ファーザー
伊坂 幸太郎
新潮社
¥ 1,680