酔眼漂流記

酒を片手に酔眼化する日々の記録


2010-11-23[火] ジェフリー・ディーヴァー [長年日記]

▶︎ [読書][J.ディーヴァー]ロードサイド・クロス

交通事故を起こし、同乗していた二人の少女を死亡せてしまった少年。その事故がある有名ブログに紹介されたことにより、少年は糾弾されることになる。ブログには憶測を含め悪意あるコメントが溢れ、やがて少年の実家に投石するものまで現れる。そんな折、事故現場にほど近い場所で十字架が発見される。それに呼応するように、ブログにコメントした少女たちが何者かに襲われるという事件が発生する。そして行方をくらませた少年。十字架は犯行予告なのか。そして、犯人は少年なのか。

毎年この時期のお楽しみのはジェフリー・ディーヴァーの新刊。今年はリンカーン・ライムのシリーズのスピンオフ作品、キャサリン・ダンスのシリーズである。前作の『スリーピング・ドール』はもう二年前になるのか。

今回はその『スリーピング・ドール』事件の直後から始まる。そしてその事件が間接的に関わってくる。前作を読んでなくても問題ないが、読んでたほうが楽しめるのは間違いない。

今回の話の根底にあるのは、現代社会の仮想世界と現実世界の関わり方、みたいなものか。ネットは仮想世界と言うものの、やはりそこも現実社会なのだ。しかし、まだお互いに隔たりがあり、それゆえに起こる問題。その問題は日本もアメリカも変わらないんだな。

さて、本作だが今まで読んだ中では「ディーヴァー」風味がちょっと薄い。ディーヴァーの真骨頂といえば、二転三転するひねりの利いたストーリー展開だろうが、今回は割と平坦、かな。前半は消えた少年の行方を追うのだが、ダンスを含め皆少年が犯人の最有力候補と見ている。けど、読んでいるこっちはまずそんなことはないだろうと思うわけで。ディーヴァーじゃなくったってこういう展開で、少年が犯人であるはずがない。そうなると淡々と少年を探す成り行きはどうも退屈なのである。

もちろんラストには大どんでん返しが待ち受ける。のだが、今回はちょっとあざといような気もする。どうもモヤモヤした気分なのは、この先ネタバレ気味なので未読の方は注意、このどんでん返しって犯人が意図したものじゃないよね、ってところ。あくまでも偶然の産物で、事によったら「彼」は死んでたかもしれない。どうもそのあたりアンフェアに思えちゃうのだ。

ライムのシリーズと比べるとミステリとして物足りないけど、その分、というか、ダンス自身のほうがドラマティックだったりする。サイドストーリー的に、彼女の母親が逮捕されるエピソード註1が描かれるのだが、こっちのほうが読んでいて気になったり。あと、彼女のロマンスの行方とか。ガチガチのミステリよりも、そういった方向に進んでいくのか。

余談だが、作中のブログのコメントの訳が、ちゃんとした「日本語訳」なのが笑えた。

ロードサイド・クロス
ジェフリー・ディーヴァー/池田 真紀子
文藝春秋
¥ 2,500

註1 この部分が前作からの続き