
岡山 備中の旅 Day3
自分にとっては岡山のイメージとして金田一耕助ある。横溝正史が生み出したこの名探偵は、岡山を舞台とした事件で活躍してきた。そんな彼は自分にとってのヒーローでもある。そんな彼の生まれ故郷とも呼べる真備町を巡ってきた。

まずは岡山駅から伯備線で清音駅へ。
作者の横溝正史は戦時中に岡山県の真備町に疎開していた。そこで金田一耕助のデビュー作「本陣殺人事件」が執筆される。舞台のモデルは真備町だ。「金田一耕助の小径」は横溝正史の疎開宅をはじめ、「本陣殺人事件」をめぐるウォーキングコースだ。

耕助が降り立った清音駅からスタート。実は今回の旅行で気づいたんだけれど、清音駅は倉敷から一駅なのだ。そもそも、岡山からだって駅五つ分。

たぶん「当時」と変わってない風景。

実際にこのあたりには本陣があった。

もちろん小説はフィクションで、地名なども伏字で架空の町っぽくはなっいるけれど、ちゃんとこの町をモデルにして描いているらしい。この道も登場しているそうだ。耕助や磯川警部がここを通ったと思うと感慨深い。
以下は余談であるけれど。「本陣殺人事件」の映像化はいくつかある。1975年に製作されたものは、なかなかの佳作だ。金田一耕助を演じたのは中尾彬氏である。時代設定を製作当時の70年代にしてあるため、中尾金田一はジーパン姿で登場する。違和感あるかと言えばそんなこともなく、原作のイメージをうまく現代解釈してると思う。


「八つ墓村」の濃茶の尼の元ネタがこんなところに。これ以外にもここでの体験が後の横溝作品に大いに生かされているそうだ。


横溝正史の疎開宅に到着。

中に入ると金田一耕助が迎えてくれる。

この家に三年間滞在していたそうだ。

ここは、入場無料なのである。それなのにお茶とお菓子を頂いてしまった。

そればかりか、ここを管理されている老婦人が作ったというナスの辛子和えまで。なんだか申し訳ない。
金田一耕助の小径のガイドブックが置いてあって、300円とのこと。これはもしよろしければということだったけれど、せめてものお礼にと購入した。
なんともいい時間を過ごすことができた。

ありし日の横溝正史像。

疎開宅の近くにあるこのお寺は千光寺。そう、獄門島のあのお寺の名前はここからきているそうな。
ここで折り返し。伊原鉄道の川辺宿駅を目指す。道中には横溝作品のキャラクター像がある。それを見つけながらの散歩だ。

「悪魔の手毬唄」よりおりん像。耕助とすれ違うシーンかな。

倉敷市真備ふるさと歴史館。ここにも小さいながら、横溝正史に関する展示がある。写真は撮らなかったけれど机や文具などの遺品が展示されている。


文庫の表紙の模型?欲しいな、これ。

これ、なかなか興味深い話が載っていて時間があればじっくり読みたかった。

金田一耕助像。初登場時の金田一耕助はこんな感じで、ちょっとイメージが違うかも。

「獄門島」より了然和尚。了然和尚のイメージは、どうしても佐分利信、だよなぁ。

「八つ墓村」より森美也子像。

「悪霊島」より巴御前像。これも余談だけれど、この映画の時の鹿賀丈史版金田一耕助は割とお気に入り。
途中道に迷ったけれど、これで全部コンプリート。

伊原鉄道の川辺宿駅に到着。JR清音駅に戻ります。

ここにも金田一耕助。
3時間ちょっとの金田一耕助を巡る旅。夢中で読んでいたあの頃に比べれば、情熱は冷めてしまったけれど。それでも。憧れていた名探偵の後ろ姿の影を少しだけ見ることができた旅だった。
つづく。

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